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クッキーレス時代に求められるファーストパーティデータと顧客化戦略 | フュージョン株式会社

作成者: Admin|Oct 6, 2025 2:38:39 AM

Webサイトにはさまざまな経路から訪問があります。直接流入はもちろん、検索エンジン経由、デジタル広告、外部メディアやインフルエンサーの紹介など、経路は多岐にわたります。
マーケティング担当者様は日々、計測ツールを使って「どのチャネルから、どのような属性の訪問者が来ているのか」を確認し、その結果に一喜一憂しているのではないでしょうか。

特に直販ECを運営している方であれば、「突然自社の商品を購入してくれたお客様は、どこから来て、何を見て、なぜ購入に至ったのか」を知りたいと思う場面も多いはずです。
しかし近年は、個人情報保護法をはじめとする規制強化の影響で、従来のように個人を特定したり行動を追跡したりすることが難しくなっています。

そこで本コラムでは、「見えない訪問者をどのように可視化し、可視化以前の情報をどう収集・付加・活用すべきか」について解説します。アクイジション(集客)だけでなく、リテンション(顧客育成・関係維持)の観点も踏まえ、データマネジメント全体を俯瞰しながら考えていきましょう。

ファーストパーティCookieの重要性が高まる背景

マーケティングの現場で最初に課題になるのが、「顧客がどのように自社を知り、購入に至ったのか」を把握することです。
集客の起点となるのがWebサイトですが、その訪問者の行動を把握するために長く使われてきた代表的な仕組みが「Cookie」です。
Cookieには大きく2種類あります。

  • ファーストパーティCookie:自社サイトが直接発行し訪問者のブラウザに保存されるもの
  • サードパーティCookie:他社が発行し、第三者に提供されるもの

Cookieの種類と特徴

種類 発行元 主な用途 メリット デメリット
ファーストパーティCookie 自社サイト ログイン維持、
行動分析
プライバシーに配慮、
信頼性が高い
サイト内限定、
デバイス横断不可
サードパーティCookie 他社 広告配信、
クロスサイト追跡
広範囲での行動把握可能 規制で利用困難、
プライバシー懸念

かつてはサードパーティCookieが主流で、他社データと組み合わせることで「顧客の過去の行動を追跡し、未来の購買行動を予測する」といった活用が広く行われていました。
しかし現在では、プライバシー規制の強化により、利用者の同意を得ていないCookieを用いた個人情報の提供は事実上不可能になっています。その結果、外部データ頼みの顧客理解が難しい時代になりました。そこで重要性が増しているのが、ファーストパーティCookieです。
ファーストパーティCookieは、自社サイトを訪問したユーザーのブラウザに直接保存されるもので、以下のような用途に活用されます。

  • Webサイト内でのログイン状態の保持
  • 訪問者の行動動線の把握(どのページを何分見たか、どこで離脱したかなど)

今後は、こうした自社で直接収集できる顧客データをどう活かすかが、ナーチャリングや将来のLTV向上に直結する時代になっています。

ファーストパーティCookieの利点とは?活用の広がり

ファーストパーティCookieには、いくつかの大きな利点があります。

1. プライバシーとセキュリティの向上

ファーストパーティCookieは、ユーザーが直接訪問している自社Webサイトによって発行されます。
そのため、他サイトをまたいで行動を追跡できるサードパーティCookieに比べ、プライバシーリスクが小さいのが特徴です。
訪問者から見ても「安心して利用できる環境」を提供できる点は、ブランド信頼の向上にもつながります。

2. 利用体験の向上(パーソナライズ)

保存されたファーストパーティCookieは、再訪時に次のような顧客体験を提供することができます。

  • ログイン状態の維持
  • 前回の訪問履歴に基づいたおすすめコンテンツの表示
  • 毎回の設定や入力の手間を削減

さらに、自社で保有するファーストパーティデータと連携すれば、オンライン施策にとどまらず、

  • DM送付やイベント招待などのオフライン施策
  • ECと実店舗をつなぐオムニチャネル施策

などにも展開でき、より一人ひとりに合った顧客体験を提供できます。

3. ナーチャリング精度の向上

ファーストパーティCookieを通じて蓄積される行動データは、顧客理解を深める基盤となります。
そのデータを活用することで、「どの段階にいる顧客に、どんな情報を提供すべきか」といったナーチャリングの設計を、より精緻に行うことが可能になります。

ファーストパーティCookieの制約と注意点

一方で、ファーストパーティCookieは万能ではありません。利用する際には以下の制約も意識しておく必要があります。

  • 発行されたサイト内でしか利用できず、回遊が少ないと十分な情報が得られない
  • デバイスやブラウザごとにCookieが独立しているため、横断的な顧客把握は難しい
  • 利用者がCookieを削除したり、プライバシー設定を強化した場合、蓄積データが消えてしまう可能性がある

つまり、ファーストパーティCookie信頼性と活用可能性の高いデータ基盤である一方、補完的なデータ収集や仕組みの整備が欠かせないという点に注意が必要です。

見込み顧客を顧客化するためのファーストパーティデータ活用

近年の規制強化によって、サードパーティCookieに依存した集客は難しくなっています。
その中で注目されているのが、自社が直接収集できるファーストパーティCookieやファーストパーティデータです。
すでに購入履歴のある顧客はもちろん、まだ顧客になっていない見込み顧客を顧客化するためには、ファーストパーティCookieやファーストパーティデータは、欠かせない基盤となります。
企業が取り組むべきは、データを「集める」ことだけではありません。

  • 収集したCookie情報をどのように活用するか
  • 自社が保有する他の顧客データとどう統合するか
  • そこからどのような体験を設計し、顧客化につなげるか

これらを考え、顧客データ分析やマーケティングシナリオを開発していくことが求められます。
さらに、こうした取り組みを支えるテクノロジーの進化も進んでいます。
たとえば:

  • コンテクストターゲティング(閲覧コンテンツの文脈に合わせた情報提供)
  • ファーストパーティデータプラットフォーム(自社データを一元管理・活用する基盤)

といった仕組みを取り入れることで、訪問者の行動や興味をより正確に把握し、「見込み顧客を顧客に変える」機会を作ることができるようになります。
これは遠い未来の話ではなく、すでに多くの企業が直面している課題です。
ファーストパーティデータをどう活かすかは、今後のアクイジション戦略を左右する大きなテーマといえるでしょう。
データドリブンマーケティングに関する基本的な内容は、以下の記事もご一読ください。

【参考コラム】
データドリブンマーケティングとは?CRM戦略設計への活かし方も解説

データマネジメントをアップデートし、顧客体験を進化させる

これまで顧客データは、主にリテンション(既存顧客向け施策)で活用されてきました。
しかし現在では、アクイジション(新規顧客獲得)の領域でも顧客データの活用は欠かせません。

リテンションとアクイジションの双方で得られたデータを連携させることで、顧客のライフサイクル全体をデータの視点から俯瞰し、より精緻な分析や活用が可能になります。
すでにファーストパーティデータを収集している企業も、ファーストパーティCookieを組み合わせることで、よりリッチで一貫性のある顧客体験を提供できるようになるでしょう。

ただし重要なのは「データを集めること」そのものではありません。

  • どのように企業戦略に組み込むのか
  • どんな顧客体験を提供し、満足度や成果につなげるのか

といった戦略設計を行わなければ、せっかくのデータも使われない資産になってしまいます。フュージョン株式会社では、さまざまな企業のCRM領域における分析事例があります。
ご興味のある方は、以下のリンクから資料をダウンロード頂けます。

CRM領域でのデータ活用はフュージョン株式会社にご相談ください

フュージョン株式会社は、30年以上にわたりCRM領域を中心に、多くの企業のデータ活用を支援してきました。

  • 戦略策定から環境構築、運用・分析までの包括的支援
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  • コミュニケーション設計やクリエイティブ開発の実行支援

これらを組み合わせることで、データをCRM戦略に生かし、成果につなげる仕組みづくりをご提供しています。

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