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「個人の努力」を「組織の資産」へ ―MOpsがマーケティング組織を強くする― | フュージョン株式会社

作成者: Admin|Jun 1, 2026 4:45:51 AM

CRM施策において、マス広告やDMのようなオフライン施策、オンライン広告やメルマガ、LINE公式アカウントやX(旧Twitter)アカウント運営などに代表されるSNS運用、さらには自社アプリへのプッシュ通知などのオンライン施策などさまざまなチャネルとデバイスを活用した施策は既存の顧客をつなぎ止め維持し続けるだけではなく、新規の顧客の獲得にもつながるため、これらはビジネス活動の生命線と言えます。

しかし、実際には、月一度のDM発送に加え週2〜3回のメルマガやSNSやアプリへのプッシュ配信というスケジュールをたった一人の担当者がこなしているような状況である企業も多く、現場レベルでは驚くほど脆弱な体制、言い方を変えると自転車操業と言ってもいいケースは少なくありません。
さらに、担当している業務そのものも、例えば素材の集約からデザイン依頼、原稿作成から確認、そして配信データの抽出からファイル化、MA/CRMツールへの設定の登録から実際の配信作業まで行っており、複雑でリスクの高い業務が特定個人のスキルや記憶に依存しているケースが多く見られます。

このようなケースは視点を変えると、担当者の単なる「忙しさ」の問題だけには留まりません。問題は、担当者の不在・病欠や退職がそのまま業務の停止だけではなく、最悪のケースとしてはビジネスそのものの停止に直結する深刻な「組織的リスク」であり、早急に解消しなければならない「オペレーショナル・デット(運用上の負債)」であるとも言えるでしょう。

この状態を解消するために、マーケティングオペレーション組織(以下、MOps)を立ち上げ組織的な対応を行っている企業もあります。ただし、組織化そのものを場当たり的ではなく、立ち上げから運用までを戦略的に取り組まなければ、単に担当者を増やしただけのオペレーションの内製化にしかなりません。結果、マーケティング費用が増大するだけで、これではMOpsが目指すべき「マーケティングで稼げる組織」を立ちあげるという目的からかけ離れてしまいます。

そこで今回のコラムでは、MOpsを単なるオペレーションの担当者集団ではなく、本来の目的を目指すための必要な組織として捉え、どのように立ち上げるべきかについて解説します。

【目次】
・プロセスの標準化が「暗黙知」を「形式知」へ変える
・マーケティングツールを「作業場」から「基盤」へ再定義する
・戦略と実行の明確な分離でリソースの再配置を図る
・組織の移行はフェーズアプローチで段階的に行う
 ・第一フェーズ:調査と診断、そして設計
 ・第二フェーズ:並行稼働
 ・第三フェーズ以降:新体制とガバナンスの確立
・外部パートナー活用がMOps成功への近道
・組織で結果を出すマーケティングの実現へ

プロセスの標準化が「暗黙知」を「形式知」へ変える

「うちのオペレーションは○○さんがいなければ回らない」というお悩みを、様々なビジネスオペレーションの現場でよく聞きます。このコラムを読んでいる実務担当者の方の中にも自社のマーケティングの現場を思い浮かべると思い当たる節があるのではないでしょうか。

このような状態は、いわゆる「オペレーションが属人化」している状態であり、この属人化の実態は、「業務の進め方が担当者の頭の中にしかない手順(暗黙知)としてブラックボックス化している」状態のことだと言えます。

そこでこの課題を解決するための方法一つが、MOpsです。
MOpsとは、単なるオペレーションの組織と位置付け、オペレーターの暗黙知をマニュアル化しそのまま運用するという事ではありません。MOpsの移行を検討する際に、そもそもMOpsはマーケティングの組織の中でどのような位置づけなのか、そしてどのような組織にするのか、その上でどのような業務を行うのかという「業務設計」を軸にしたアプローチが有効です。

まずは現状の業務プロセスを徹底的に棚卸し、そして新しい業務プロセスを基に業務設計を行います。業務設計の手順としては、最初に今の業務を可視化し、次に組織全体に影響のある業務と個別の業務ごとに分けて設計を行います。こうすることで、これまで属人化していた暗黙知が誰もが再現可能な「仕組み」へと昇華することができます。最終的には業務設計で完成した業務プロセスをマニュアル化すれば『誰でも業務が行える状態』に移行することができるのです。

この結果、従来の担当者一人の“頑張り”に依存していた「個人の知見」が、組織全体で活用可能な「永続的な資産」へ変わります。

マーケティングツールを「作業場」から「基盤」へ再定義する

次に考えるべきことは、マーケティングの運用を支えるマーケティングツール群です。
これらのツールを単なる「連絡手段」「連絡内容」だけのために使用するのではなく、組織の活動を記憶する「マーケティングの頭脳」へと進化させる必要があります。
ツールを検討する際に一番に考えないといけない事は、ツール間のシームレスな連携と、それによる「情報のトレーサビリティ」の確保の実現です。例えば、「業務管理ツールで使用する課題名と資料格納ツールのフォルダ名を完全一致させて管理する」のようなネーミング基準のルール化は資料の関連性を担保し散逸を防ぐことに役立ちます。

このような取り決めは、

  • 判断経緯の蓄積:ツール上に「なぜその施策が決まったのか」という意思決定のプロセスを記録することで判断基準の標準化、統一化を図ることができる
  • 一元管理された実行基盤: 連絡ツールを使用し迅速なメッセージのやり取りと、アセットの格納管理を連動させることによって、コミュニケーションのスピードと品質を担保できる

というメリットがあります。

このように、ツールを統合された一つの「基盤」として運用することで、担当者が入れ替わっても、過去の経緯や成果物を即座に参照できる「組織の頭脳」を構築することができます。
ツールを活用する時には「品質のガバナンス」をどのように確立するかを念頭に置いておく必要があります。なぜなら、基盤の運用と業務プロセスは表裏一体であり、業務設計でいくら業務プロセスを押さえたとしてもツールが業務設計と連動していなければ意味がないからです。
シームレスに連携して行うことで、チェック漏れを防ぎケアレスミスやリスクを構造的に排除することができます。

戦略と実行の明確な分離でリソースの再配置を図る

MOps体制を構築する真の価値は、「Decision Making=意思決定・戦略」と「Execution=実務実行」という異なった役割を明確に分離するガバナンスを確立した時に発揮します。
一人の担当者がこの2つの役割を担当していると、企画開発から制作、設定など実際の実行まで一人で行うため施策全体を俯瞰しながら進めることができ、スケジュール進行などが自分自身だけで完結するため、外部との調整がシンプルになります。一方で、この2つを進めるためのスキルが異なるため、業務が煩雑になりやすく、確認漏れやミスの発生がスケジュールの遅延をまねく恐れも否定できません。

理想的な体制は、社内担当者の限られたリソースを、一方ではマーケティングの意思決定・戦略という「高付加価値な業務」を担わせ、他方では既存の体制のまま業務を切り分け、MOps内に2つのチームを設立させることですが、この体制だと両方のチームがリソース不足に陥ってしまい、もしリソース不足を解消するとなれば新たな人員を補充しなければなりません。
この人員の問題はMOps移行の最大の課題と言っても過言ではありません。そのため、外部パートナーの活用の検討も一つの選択肢として考えるといいでしょう。

組織の移行はフェーズアプローチで段階的に行う

属人化から組織化へは以下の3フェーズを経て、戦略的に進める必要があります。

第一フェーズ:調査と診断、そして設計

現行の運用方法とその裏側にある課題を整理しながらAs-Isを可視化します。その上でTo-Beに向けた各種ドキュメント整備を完了させます。また、既存のテクノロジーに加え新規のテクノロジーを導入する場合はMOps全体のツールの整備と利用ルールなどのガバナンスもあわせて検討します。
このフェーズの最終ゴールは業務設計を完了させることであり、言い換えれば「新しい仕組み」の設計図を完成させることです。

第二フェーズ:並行稼働

このフェーズでは、実際のツールの導入とガバナンスの開発、さらに業務設計で可視化された業務フローに基づいたコミュニケーション設計とそのためのコンテンツ開発をおこない、各ツールに実装し新しいコミュニケーション環境の構築を行います。
これらの移行作業が完了した後は全体の移行テストを行います。このテストは業務設計に基づき実際の手順を確認しますが、この時点では旧来のやり方と新しい仕組みを比較検討しながら微調整を行い、業務設計の修正やマニュアルの修正、場合によってはガバナンスの訂正を行いながら進めていきます。これらの作業は移行が成功するか、失敗するかを決める重要な期間と言えます。
第二フェーズの終了時にMOpsへの業務の移行に関する最終決定を行います。

第三フェーズ以降:新体制とガバナンスの確立

新体制では、意思・決定チームと実務実行チームがそれぞれの役割に与えられた権限と責任、そしてガバナンスルールとマニュアルに基づき運営されます。
実施した施策やオペレーション、ツールの運用に関しては定期的にレポート化を行い、それらを共有しながらさらなる業務プロセスの改善やMOpsから関連部門へ施策を通じたファインディングスやさらなる顧客体験の向上の提案を行います。
MOpsの最終的なゴールはマーケティング業務に必須となるビジネス基盤として活動し、さらに組織が単なるコストセンターではなく、自分自身でビジネスを創造し推進するプロフィットセンターになることです。

外部パートナー活用がMOps成功への近道

MOpsへの移行を検討する際には、外部パートナーの支援を受けながら実行するという事も重要です。
MOpsの業務設計やツール選定を行うにあたり、同業や他業種の先進的な事例やMOpsに関する知見を加えることで、自社のMOpsの質を飛躍的に向上させることができます。
さらには運用に関しての人材不足の解決策の一つとして、実務実行の機能を外部パートナーの活用を視野に入れておく事もいいでしょう。

外部パートナーを活用するメリットはビジネスに「知見」と「スピード」、「スケーラビリティ」をもたらすという点です。ビジネスの成長に合わせて組織を拡大する場合は、自社のいままでの慣例にとらわれることなく新しい考え方をもたらすことが必要です。また、組織の拡大を考えた時に、自社内での運用を考えるのであれば、人員採用や他部門からの移動などで増員が必要となり、さらに実務を教育するための時間がかかります。外部パートナーを活用すれば、施策実施のスピードを落とすことなく実務実行の数を増やすことができ、その結果、自社のビジネスの成長スピードを落とすことなく加速させることができるのです。
もちろん外部パートナーの活用にはデメリットもあります。そのため内製化、外部パートナーの活用の両方のメリット・デメリットを判断して検討するとよいでしょう。

組織で結果を出すマーケティングの実現へ

「誰かの自己犠牲」で成り立つマーケティング活動というのは、企業自らビジネスの成長の天井を作っているようなものです。そのような中でのMOpsへの移行は、単にオペレーションの属人化という将来のリスクを排除するだけでなく、施策の実施を「再現性のある成長エンジン」へアップデートするプロセスと言っても過言ではありません。

フュージョン株式会社では、30年以上にわたり、CRM領域のマーケティング支援会社として、多くのクライアント企業をご支援してきました。
今回コラムで取り上げたような、MOpsに関する戦略設計から業務設計、運用設計、そして支援体制の構築から実際の運用、さらには施策後の分析まで幅広くご支援が可能です。

「属人化しているオペレーションを何とかしたい」「ビジネスの拡大に合わせてスピード感をもって組織を拡大したいが人材が不足している」「そもそもMOpsを立ち上げたいがどのようにすればいいのかわからない」等マーケティングオペレーションに関するお悩みがある方は、下記資料をダウンロードのうえ、ぜひお気軽にご相談ください。