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    【簡易計算シート付】LTVとは?重視される背景やCRMとの関係、計算方法を解説

    2022-10-03

    目標達成の道しるべ「KPI」を設定しよう

    LTVとは、「顧客生涯価値(Life Time Value)」のことで、一度獲得した顧客が一生の間にもたらしてくれる価値を指します。LTVの最大化はCRMに取り組む理由そのものと言えますし、また最近では「LTV経営」という言葉が出てきているとおり、LTVを経営目的や指標として使用する傾向が出てきています。

    今回は改めて、LTVが重視されるようになった背景や、LTVを正確に把握するために必要なことをご紹介します。

    LTVが重視される背景

    LTVを重視するとは、つまり「今まで以上に既存のお客様を大事にしていこう」ということです。
    LTVが重視される背景としては、大きく分けて2つあります。

    人口減少・年齢構成比の変化

    日本の人口のピークは2008年で、2009年からは減少に転じています。そして、政府統計資料によると、2053年には人口1億人を割ると予測されています。国立社会保障・人口問題研究所資料
    国立社会保障・人口問題研究所資料より弊社作成)

    加えて、高度成長期と比較すると一般的に購買力のある若年層の割合が大きく減少し、いわゆる人口ボーナスによる企業の成長がなかなか見込めない環境になりつつあります。

    国立社会保障・人口問題研究所資料2

    (国立社会保障・人口問題研究所資料より)

    新規獲得のコストが増大

    そもそも新規顧客の獲得は、顧客との接点を作り、購入に至るまでのプロセスにおいて、既存顧客の維持や育成に比べて5倍のコストがかかると言われています(1:5の法則)。
    かつては、国内での需要が供給量を上回り、何を売ってもそれなりに売れる時代がありました。
    しかし、現代の日本では人口減少が急速に進んでおり、市場にも高品質なモノやサービスがあふれているため、国内においては少ない顧客を多数の企業が奪い合っている状況にあります。

    このように、人口減少・少子高齢化を背景に国内市場が縮小する中では、企業が一人の顧客からより多くの利益を上げようと考えるのは、自然な流れと言えます。上位2割の顧客で全売上の8割を支えているとも言われるとおり(パレートの法則)、いかに既存顧客と良好な関係を築くかが売上維持・向上を左右すると考えられることから、既存顧客との関係性を可視化できる指標としてのLTVに注目が集まっています。

    LTVとCRMの関係

    LTVは、CRMに取り組む目的そのものであり、CRMの取り組みの中で行う顧客とのコミュニケーションシナリオ設計上のカギとなる重要指標です。

    CRM(Customer Relationship Management )とは、顧客との関係性の維持や顧客満足の向上によって、売上の拡大や利益の向上を目指すための顧客志向の経営戦略であり、それに伴う手段や手法のことを指します。
    これは、CRMの目的がLTVの最大化であるとも言えます。

    LTVを最大化させるためには、自社の顧客がどのようなニーズを抱えており、どのような行動特性を持っているかを細かく把握し、適切なコミュニケーション設計を行う必要があります。顧客のタッチポイントがアナログ・デジタルを問わず複数存在する中では、CRM/MAツールを活用したデータ収集や分析も必要です。

    【参考コラム】
    CRMとは?マーケティングとの違いの有無や、CRM領域での課題解決の流れ
    マーケティングでのCRMプログラム実施、よくある課題・原因と見直しのコツを解説
    MAツール運用時によくある3つの「困った」から見る、データベース構築段階でやるべきこと

    LTVは売上だけでなく費用も算出する必要がある

    LTVの最大化を考えるときは、「生涯に顧客から獲得する売上」ではなく「生涯に顧客から獲得する利益」に着目することが重要です。すなわち、売上を算出するだけでなく、かかる費用も算出する必要があります。顧客を獲得するのも維持するのも、直接・間接に関わらず費用がかかります。
    直接かかる費用としてわかりやすいのは広告費やプロモーション費です。また、間接的にかかる費用としては、顧客を管理するためのシステムにかかわる費用等が挙げられます。

    こうしてみると、顧客を獲得し、維持し続けるためには多くの費用がかかります。この費用を無視し、売上だけで判断すると誤った判断をしてしまう可能性もあります。そして、この費用は顧客ひとりひとりで異なりますし、もっと言えば毎回の取引で異なります。
    例えば、ある商材の新規顧客を獲得するために、10,000円分の広告枠を2回購入したとします。
    1回目の出稿では100人、2回目の出稿では初回の半分の50人獲得できたとします。とすると、1回目の出稿で獲得できた新規顧客の獲得費用は100円、2回目は200円となり獲得費用は異なります。さらに、1回目は500円引の特典を、2回目は定価で販売したとします。値引き分を費用と考えれば、1回目に獲得した顧客一人ずつに500円の費用が加算されます。

    新規獲得のコストが増大
    このように、LTVを正しく把握するためには、顧客ごとで必要となる費用が一律ではないため、顧客ひとりひとりの、さらに一回ごとの取引を管理する必要があります。
    そのためには、取引を記録するためのCRMと販売管理が必要であり、加えて会計管理の仕組みの連携が重要になります。また、できるだけ正確な費用を把握するためには販売管理費の仕分けも重要です。
    そういう意味ではLTVを経営に取り入れることができる企業とできない企業があります。継続的に購入されている一般消費財を販売している企業でも、販売チャネルが小売経由であれば、個々の取引の記録がなくLTVを算出することはできません。
    D2C企業からLTV経営の話題が出ることが多いのは、そもそも継続利用を前提としている商材を扱っていることが多く、継続利用を前提にLTVを最大化するビジネスモデルであり、さらにこれらの情報を把握しやすい仕組みを持っているからです。

    【事例】
    年4回DMによるリマインドでLTV最大化を狙う 売上前年比234%!優良顧客向け年間プログラム

    LTVの計算方法例

    最後に、LTVを自社で計算するときの簡単な計算例をご紹介します。
    LTVは、定義の上では「顧客が一生の間に生み出してくれる価値」ですが、実務で使うには「一生」では長すぎて扱いづらいため、商材の性質を踏まえ、数年程度など期間を区切って算出するのが一般的です。LTVでは、二度目以降の購買なども顧客のもたらした「価値」として評価します。また、顧客が定着することによる顧客獲得コスト低減も、「価値」としてLTVの一要素として扱う場合もあります。

    前述したとおり、LTVの正確な把握のためには、売上だけでなく費用も算出する必要があります。
    仮に売上だけで顧客全体の平均的なLTVを算出しようとした場合、下記の式で算出することになります。

    LTV=購買額×購買頻度×継続期間

    たとえば、あるEコマースサイトでは、以下の状態だったとします。
    ・注文1件当たりの購買額=平均10,000
    ・顧客1人の1年間の購買頻度=平均1.5
    ・年間20%の顧客が離反する=1人の顧客の継続期間は1÷0.205

    この場合、このEコマースサイトの顧客のLTV
    10,000(円)×1.5(回)×5(年)=75,000
    と計算できます。
    つまり、顧客1人を獲得すると、その後75,000円の売上が見込めることになります。

    ここで、1回の購買平均単価を10,000円にするために、実は販促費として1回の購入ごとに5000円かかっているとしたら、LTVはいくらになるでしょうか。

    LTV=(購買額-販促費)×購買頻度×継続期間
    10,000(円)-5,000(円))×1.5(回)×5(年)=37,500

    上記では簡略化のため、1回あたりの購買額の維持にのみ販促費をかけている前提で算出していますが、実際は購買頻度の維持・増加にも費用をかけることがありますし、顧客それぞれに必要な費用が異なります。まずは概算でも自社の商品・サービスのLTVを算出してみると、自社のCRMに関する現状把握の第一歩となるでしょう。
    お役立ち資料として「LTVの簡易計算シート(Excel)」を用意していますので、ぜひご活用ください。

    LTV計算シート画像

    LTV簡易計算シート 資料ダウンロードはこちらから

    LTVを正しく把握して、最大化に向けたアクションを

    LTVを正しく把握するためには、顧客ひとりひとりを客として扱う必要があります。そのためには、自社ビジネス全体の正しい理解と、その理解に基づいた仕組みの設計・開発、運用が重要という点も忘れてはいけません。

    フュージョン株式会社では、30年以上にわたり、さまざまなクライアントのCRMについて、定量・定性分析による現状把握から戦略策定、マーケティング施策の設計や運用まで、統合的に支援してきました。
    自社のLTVをしっかり把握したい、もっとLTVを自社の仕組みにしっかり組み込みたい、などのお悩みがある方は、ぜひフュージョン株式会社までお問い合わせください。

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