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メールマーケティング成果を左右するオペレーション設計と運用 | フュージョン株式会社

作成者: Admin|Feb 2, 2026 5:14:34 AM

「メールを読む・書く」という行為は、ビジネスシーンを除けば一昔前のものだと捉えられがちです。しかし、実際にはメールはいまも主要な情報接点の一つであり、メールマーケティングにおいても重要な役割を担っています。

20256月に総務省情報通信政策研究所が発表した「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、平日の全年代におけるインターネット利用項目別の平均利用時間を見ると「メールを読む・書く」の利用時間は38.9分となっており、「ソーシャルメディアを見る・書く」(34.7分)を上回っています。この結果から、メールは現在も有効な情報接点であることが分かります。こうした背景から、近年あらためてメールマーケティングの価値が見直されています。一方で、メールマーケティング運用の現場では、「成果が安定しない」「思ったような効果が出ない」といった課題を抱えるケースも少なくありません。

多くの場合、マーケターの関心は開封率やクリック率といったクリエイティブ改善に向きがちです。しかし実際には、メールマーケティングの成果を左右する要因は、クリエイティブだけでなく、オペレーション設計(運用設計)にあります。

本コラムでは、メールマーケティングにおけるオペレーションに焦点を当て、成果を安定させるために欠かせないオペレーション設計の考え方と実践ポイントについて解説します。なお、メールマーケティングの基本的な考え方やメリット、代表的な手法など、全体像については以下のコラムで詳しく解説しています。基礎知識の整理から確認したい方は、あわせてご覧ください。

【参考コラム】
成功するメールマーケティングとは?基礎知識・メリットから手法まで解説
【目次】
なぜメールマーケティングは「運用」で差がつくのか
メールマーケティングにおけるオペレーション設計とは
オペレーション設計の第一歩は「顧客体験」を起点に考えること
属人化を防ぐためのオペレーション設計の実践ポイント
安定運用を支えるオペレーション体制とガバナンス

メールマーケティングはオペレーションが成果を決める

なぜメールマーケティングは「運用」で差がつくのか

メールマーケティングは、適切な戦略やコンテンツを用意すれば必ず成果が出る施策、というわけではありません。実際の運用現場では、同じような施策を実施していても、成果が安定して出る企業とそうでない企業が明確に分かれます。その差を生んでいるのが、日々のメールマーケティング運用を支えるオペレーション設計です。
メールマーケティングにおいては、「開封されるか」「読まれるか」「クリックされるか」といった成果指標が分かりやすいため、どうしても件名や本文、クリエイティブの改善に意識が向きがちです。
もちろん、クリエイティブの品質は重要です。しかし、どれだけ優れたコンテンツを制作しても、配信頻度やタイミング、配信対象の設計、配信プロセスの管理といったオペレーションが適切に設計されていなければ、メールマーケティングの成果は安定しません。
実際の運用現場では、

  • 配信の判断基準が担当者ごとに異なる
  • 配信頻度や対象の調整が感覚的に行われている
  • 配信後の振り返りや改善が属人的になっている

といった状態に陥っているケースも少なくありません。このような状況では、成果が一時的に出ることがあっても、再現性のある運用を継続することは難しくなります。

メールマーケティングの成果を左右するのは、個々の施策や表現の巧拙ではなく、運用全体を支えるオペレーション設計が適切に行われているかどうかです。言い換えれば、オペレーション設計はメールマーケティング運用の「土台」であり、この土台が不十分なままでは、継続的な改善やスケールは実現できません。

メールマーケティングにおけるオペレーション設計とは

メールマーケティングにおけるオペレーション設計とは、単にメールを「いつ・誰に・何通送るか」を決めることではありません。受け手にとって違和感やストレスのない体験を提供するために、配信ルール、顧客データの扱い、他メディアや部門との連携まで含めて、運用全体を事前に設計することを指します。

多くの施策では、配信されたメール単体で完結するケースは少なく、Webサイト、広告、アプリ通知など、複数の接点を横断したコミュニケーションの一部としてメールが位置づけられます。そのため、オペレーション設計では、カスタマージャーニー全体を俯瞰したうえで、メールが果たす役割やタイミング、他チャネルとの整合性をあらかじめ整理しておくことが重要になります。

また、配信頻度や配信対象の考え方もオペレーション設計の一部です。頻度が高すぎれば受け手の負担となり、少なすぎればブランドや商材を想起してもらえなくなる可能性があります。
こうしたリスクを避けるためには、感覚ではなく、顧客データや行動データに基づいたルール設計が欠かせません。

さらに、メールマーケティングの運用はマーケティング部門だけで完結するものではありません。営業やサポート領域を含め、顧客と接点を持つ部門との連携を視野に入れた設計ができてはじめて、メールは企業にとって意味のある施策となります。
このように、オペレーション設計とは、日々のメールマーケティング運用を支える「土台」を整えることであり、成果を安定させるための前提条件と言えます。

オペレーション設計の第一歩は「顧客体験」を起点に考えること

メールマーケティングのオペレーション設計において、最初に意識すべきなのは、企業側の都合ではなく受け手の顧客体験です。たとえ顧客自身がメール受信に同意していたとしても、無差別に、あるいは文脈を欠いたメールが届けば、受け手にとってはストレスとなり、ネガティブな感情を抱かせてしまう可能性があります。

マーケティングの視点で言えば、重要なのは「メールを送ること」ではなく、メールを受け取ったときにどのような体験をしてもらうかです。この体験を起点に運用を設計することが、オペレーション設計の第一歩と言えます。

配信頻度とタイミングの考え方

まず検討すべきなのが、メールの配信頻度です。頻度が高すぎれば受け手の負担となり、配信停止や解除につながりやすくなります。一方で、頻度が低すぎると、ブランドや商材の存在を忘れられてしまう可能性もあります。

このバランスを取るためには、感覚的な判断ではなく、データに基づいた頻度コントロールが不可欠です。ブランドのポジショニングや商材の購入頻度、配信するコンテンツの内容などを踏まえ、顧客にとって適切な頻度・タイミングを設計する必要があります。

カスタマージャーニー全体を見据えたメールの役割設計

現在のマーケティング施策において、メール単体で完結するケースは多くありません。Webサイト、広告、アプリ通知など、複数のチャネルを横断したコミュニケーションの中で、メールがどの役割を担うのかをあらかじめ整理しておくことが重要です。

たとえば、他のメディアと同時に配信するのか、時間差で配信するのかによって、受け手の受け取り方は大きく変わります。顧客がさまざまな接点を通じてブランドの情報に触れたときに、「なぜ、いま、自分にこの情報が届いたのか」と疑問を抱かせないよう、カスタマージャーニー全体を俯瞰した設計が求められます。

部門連携を含めた顧客体験の最適化

さらに、メールマーケティングのオペレーションはマーケティング部門だけで完結するものではありません。営業やサポート領域も含め、顧客と接点を持つ部門と連携し、一貫した体験を提供できてはじめて、メールマーケティングは企業にとって意味のある施策になります。
このように、顧客体験を起点に、配信頻度、メディア連携、部門連携までを含めて設計することが、オペレーション設計の出発点です。
オペレーション設計がどのように成果につながるのかを具体的に知りたい方は、以下の事例も参考にしてみてください。

【参考事例】
“寄り添う”姿勢で新規web加入者数UP!e-mail配信を徹底サポート

属人化を防ぐためのオペレーション設計の実践ポイント

メールマーケティングのオペレーション設計において、もう一つ重要な視点が属人化の排除です。特定の担当者の経験や感覚に依存した運用は、品質のばらつきやリスクの増大を招き、結果として成果の不安定化につながります。ここでは、属人化を防ぎ、安定したメールマーケティング運用を実現するための実践ポイントを整理します。

観点
(オペレーション設計の要素)
属人化した運用 オペレーション設計された運用
コンテンツ制作・配信ワークフロー 担当者ごとに進め方が異なり、確認や承認の抜け漏れが起きやすい テンプレートと承認フローが定義され、一定品質で運用できる
配信リスト管理・データ更新ルール データ更新が俗人的・場当たり的で、リストの鮮度が保てない 更新ルールが明確で、常に最新データを前提に配信できる
メール配信プラットフォーム・技術面 設定やチェックが担当者依存で、
リスクに気づきにくい
技術的な留意点が整理され、
安定した配信品質を維持できる

コンテンツ制作・配信ワークフローの確立

まず重要なのが、コンテンツ制作から配信までのワークフローを明確に定義することです。メールのレイアウトやデザインを担当者任せにしてしまうと、同じブランドから送信されているにもかかわらず、受け手に異なるブランドイメージを与えてしまう可能性があります。場合によっては、なりすましやスパムを疑われるリスクも否定できません。

こうした事態を防ぐためには、ブランドガイドラインに沿ったメールレイアウトやスタイルを用途別にテンプレート化しておくことが有効です。ヘッダーやフッターを含めた基本フォーマットを統一することで、顧客体験の一貫性を担保できます。

あわせて、誰が・どのタイミングで・何を確認するのかといった承認プロセスの明確化も欠かせません。確認体制が曖昧なまま運用を続けると、誤字脱字や記載漏れ、最悪の場合は誤配信といった重大なトラブルにつながる恐れがあります。

さらに、配信後のモニタリング体制もオペレーション設計の重要な要素です。解除率や迷惑メール報告率など、ネガティブなシグナルを継続的に監視し、異常があった場合には速やかに関係者へ共有できる仕組みを整えておくことで、リスクの早期発見と対応が可能になります。

配信リスト管理とデータ更新ルールの設計

次に重要なのが、配信リストの管理です。セグメントの判断に用いる行動データや属性データは、時間の経過とともに陳腐化します。特に配信頻度が高い場合や、複数のコンテンツを配信している場合には、どのデータを更新対象とするのか、どのデータは更新しないのかを明確にすることが求められます。

メール配信後に取得できる行動データを、どのタイミングで配信リストに反映させるのかといったルールを定め、常にリストを最新の状態に保つことが、リストの鮮度管理につながります。

また、未開封状態が長期間続く顧客を放置すると、到達率や開封率、反応率の低下を招き、最終的にはKPI全体の悪化につながります。休眠顧客の扱いや配信除外ルールについても、事前に方針を決めておくことが重要です。

加えて、オプトインおよびオプトアウトの管理は、法令遵守の観点だけでなく、ブランドへの信頼に直結する重要な要素です。配信停止やデータ削除といった依頼に迅速かつ確実に対応できるよう、関連部門を含めた対応プロセスをあらかじめ整理しておくことをおすすめします。

メール配信プラットフォームと技術的な留意点

近年では、メール配信機能がMA(マーケティングオートメーション)の一部として提供されるケースが増え、配信ツール単体を利用する場面は減りつつあります。一方で、メールマーケティング運用においては、技術的な観点が成果やリスクに大きく影響することを理解しておく必要があります。

たとえば、スパム判定や送信ドメインの評価低下は、ブランドの信頼性を損なうだけでなく、最終的には売上にも影響を及ぼします。そのため、送信ドメインの認証設定が正しく行われているか、配信率や到達率が安定しているかを継続的に監視することが不可欠です。

また、大量配信時に発生する配信遅延は、受信タイミングに影響を与え、顧客体験を損なう要因となります。深夜や早朝に意図せずメールが届くことを防ぐためにも、配信速度や配信通数、配信開始・完了時間の確認とモニタリングを行うことが重要です。

加えて、テスト配信の徹底は、表示崩れやリンク切れ、誤字脱字などのリスクを未然に防ぐうえで欠かせません。ルーチン業務になりがちな工程だからこそ、省略せず、確実に実施する運用ルールを設けておく必要があります。

なお、KPI設計もオペレーション設計における重要な要素の一つですが、配信のためだけのKPIではなく、施策全体としてどの指標を成果と捉えるのかという視点が求められます。本コラムでは詳細な説明は割愛しますが、KPI設計については別コラムで詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

【参考コラム】
CRMで必要なKPIとは?マーケティング施策を成功に導くKPIツリー設計ガイド

安定運用を支えるオペレーション体制とガバナンス

ここまで、ワークフローや配信プロセス、配信リスト管理など、メールマーケティングのオペレーション設計における具体的なポイントを見てきました。しかし、どれだけ設計を整えても、それを支える体制や運用管理が不十分であれば、安定した成果を継続することはできません。

メールマーケティングは、多くの工程とリスクを内包する施策です。リスクを未然に防ぐこと、そして万が一問題が発生した際に迅速かつ適切に対応できること。この両立を実現するためには、オペレーション体制とガバナンスの整備が欠かせません。

トラブルを未然に防ぐためのリスク管理と対応体制

まず重要なのが、トラブルを想定した事前設計です。たとえば、テスト配信においては、本番配信リストを使用せず、テスト専用の配信リストを用意するといった基本的なルールを徹底する必要があります。

また、本番配信前には、以下のような項目をチェックリストとして明文化し、抜け漏れを防ぐ仕組みを整えておくことが重要です。

(チェック項目例

  • 配信日時や配信対象件数の確認
  • 差し込み項目の有無
  • ヘッダー・フッターや表記内容の確認

こうしたチェック体制に加え、配信までの承認フローだけでなく、配信後にトラブルが発生した場合の対応フローまで事前に定義しておく必要があります。具体的には、配信停止、顧客への告知、原因調査、再発防止策の策定・共有といった一連のプロセスを、関係部門とあらかじめすり合わせておくことが重要です。

さらに、特定商取引法や個人情報保護法など、法令遵守の観点もガバナンスにおける重要な要素です。社内ルールに基づいた定期的な教育や監査を実施し、マーケティング部門だけでなく関連部門と連携して対応することで、ブランドへの信頼低下リスクを抑えることができます。

チーム体制とナレッジマネジメントの重要性

メールマーケティングのオペレーションは、多くのプロセスと判断を伴う業務であり、最終的には人材とチーム体制が品質を左右します。そのため、属人化を防ぎ、誰が担当しても一定の品質を担保できる状態を目指すことが重要です。

具体的には、ワークフローやプロセスドキュメントに加え、配信手順書、チェックリスト、メールテンプレート(フォーマット、ヘッダー、フッターなど)を整備し、運用ルールを明文化しておくことが求められます。これにより、担当者が変わっても安定した運用を継続することが可能になります。

また、メールマーケティングを取り巻く環境は、ツールやアルゴリズムの変化、法令改定などにより、常に変化しています。そのため、部内だけでなく関連部門も巻き込んだ定期的な勉強会や情報共有の場を設けることが不可欠です。

加えて、オペレーションの最適化を継続的に行うためには、PDCAを確実に回す仕組みが必要です。最低でも四半期ごと、可能であれば月次での定例レビューの場を設け、運用状況や課題を共有することで、チーム全体のナレッジ蓄積と改善につなげることができます。

メールマーケティングはオペレーションが成果を決める

メールマーケティングにおいては、件名やコンテンツといったクリエイティブの良し悪しが注目されがちですが、実際にはそれだけで成果が決まるわけではありません。本コラムで見てきたように、成果を安定して生み出すためには、オペレーション設計が不可欠です。

ワークフローや配信プロセスの整備、配信リストやデータの管理、配信基盤の品質担保、そしてリスクを想定したガバナンス体制。これらが十分に整っていなければ、どれだけ質の高いコンテンツを制作しても、成果が出ないばかりか、運用リスクを抱えたままメールマーケティングを続けることになります。その結果、ブランドへの信頼低下や顧客離反を招く可能性も否定できません。

一方で、オペレーション設計を土台として整えることで、メールマーケティングは再現性のある施策となり、継続的な改善や成果の積み上げが可能になります。クリエイティブとオペレーションは対立するものではなく、オペレーションがあるからこそ、クリエイティブの価値が最大化されると捉えるべきでしょう。

フュージョン株式会社では、30年以上にわたりCRM領域の支援を行い、さまざまな業界のクライアントに対して、戦略設計から実行・運用までを一貫して支援してきました。

本コラムを通じて、
「自社のメールマーケティング運用は本当に最適化されているだろうか」
「属人化した運用になっていないだろうか」
といった疑問をお持ちになった方は、一度立ち止まって現状を見直してみることをおすすめします。
運用設計の見直しは、成果改善だけでなく、リスク低減や組織的な運用体制構築にもつながります。

メールマーケティング運用やオペレーション設計についてお悩みがあれば、お問い合わせフォームより、お気軽にご相談ください。