「既存顧客の離脱が増えている気がするが、原因がわからない」
このようなお悩みを抱えているマーケティング担当者は多いのではないでしょうか。
新規顧客の獲得コストが高騰する中、既存顧客の価値を最大化するCRM戦略の重要性はますます高まってきています。
その中でも特に重要となるのが、「ロイヤルカスタマー」の育成です。
ロイヤルカスタマーとは、自社の商品やサービスを継続的に購入し、ブランドへの愛着を持つ顧客層のことを指します。
ロイヤルカスタマーは継続的に購入してくれるだけでなく、ブランドに対して信頼や愛着を持つため、長期的な売上の安定に大きく寄与します。
本記事では、ロイヤルカスタマーの考え方から、CRM分析の手法(RFM・LTVなど)、そして分析結果をどのように戦略・施策に落とし込むのかについて、事例を交えながら解説します。
CRM戦略の見直しやLTV(顧客生涯価値)最大化のヒントとして、ぜひご活用ください。
ロイヤルカスタマーとは、単に購入頻度や購入金額が高いだけでなく、企業やブランドに対する信頼や愛着を持ち、継続的に利用してくれる顧客を指します。
重要なのは、「売上としての価値」だけでなく、関係性としての価値を持っている点です。
近年、ロイヤルカスタマーが重視される背景としては、以下のような理由があります。
・新規顧客獲得コストの高騰
・競争激化による差別化の難しさ
・LTV(顧客生涯価値)最大化の必要性
こうした環境の中では、新規顧客の獲得だけに注力するのではなく、既存顧客との関係を深めることが重要です。ロイヤルカスタマーの育成は、売上の安定化と持続的な成長の両方に貢献します。
ロイヤルカスタマーについて、詳細は以下のコラムで解説していますので、ぜひご参考ください。
優良顧客とロイヤルカスタマーは、企業やブランドに対する貢献や信頼の有無に違いがあります。
優良顧客は主に売上や購入頻度など、数値的な指標で定義される一方で、ロイヤルカスタマーは、そうした数値に加えて「心理的な側面」も含めて評価されます。
つまり、ロイヤルカスタマーとは、短期的な売上を生む顧客ではなく、中長期的な関係を見据えて売上が期待できる顧客のことを指します。
そして、ロイヤルカスタマーを適切に理解し、育成するためには、「顧客ロイヤルティ」の観点が必要です。顧客ロイヤルティとは、顧客が企業や商品・サービスに対して愛着を持っている状態を指し、高い、もしくは低いで表される指標のことです。
顧客ロイヤルティは、「心理ロイヤルティ」「行動ロイヤルティ」「経済ロイヤルティ」の3つの観点に分解して考えることができます。
心理ロイヤルティとは、企業やブランドに対する好意や信頼、愛着といった感情的なつながりを指します。この心理ロイヤルティが高い顧客は、価格や競合の影響を受けにくく、長期的な関係につながりやすい特徴があります。
行動ロイヤルティとは、来店頻度や購入回数、メールの開封などの行動データによって測定されるロイヤルティです。CRM施策によって直接的に働きかけができる領域であり、ロイヤルカスタマー育成における重要な指標です。
経済ロイヤルティは、購入金額やLTVなど、売上に直結する指標です。
心理ロイヤルティが高い顧客は、結果として経済ロイヤルティも高くなる傾向があります。
ロイヤルカスタマーを定義し、適切な戦略を立てるためには、データに基づく顧客分析が不可欠です。
まず、自社にとっての理想的なロイヤルカスタマー像を明確に定義するため、CRMツールやMAツールなどを活用し、購買履歴、問い合わせ対応履歴、Webサイト上の行動データ、アンケート回答などのデータを一元管理・収集します。
その後、収集したデータに基づき、顧客の行動特性によってセグメントに分類していきます。
ここでは、ロイヤルカスタマーを定義付けるための主な分析手法について解説します。
顧客を購入金額順に並べ、10段階に切り分けることで、売上構成や上位顧客の割合を把握する手法です。「売上の大半をどの顧客が占めているのか」を可視化することができます。
「Recency(最終購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の3軸で顧客を評価する分析手法です。顧客の状態を細かく分類できるため、施策設計に活用しやすい特徴があります。
デシル分析では購入金額のみで分析を行っていますが、RFM分析では購入頻度と最終購入日を加えているため、より細かい顧客の動向を見ることが可能になります。
小売店などの直近購入日やリピート率を重視する業種で有効です。
LTV(顧客生涯価値)は、ある顧客が取引期間全体を通じて企業にもたらす価値を示す指標です。購入回数、購入単価、継続期間、粗利率などをもとに算出し、どの顧客層に重点的にアプローチすべきかを判断する際に活用されます。
一般的に、LTVが高い顧客は顧客ロイヤルティも高い傾向にあるため、リピーターの購入分析をすることでロイヤルカスタマーを増やしニーズを高めるアプローチが期待できます。
多くの企業に陥りがちなのが、「分析して終わってしまう」状態です。重要なのは、分析結果をどのように戦略・施策に変換するかです。
ここではその考え方について解説します。
分析結果をもとに、顧客を以下のように分類します
・新規顧客
・優良顧客
・ロイヤル顧客候補
・離脱リスク顧客
例えば、RFM分析で「購入頻度が高いが最近購入がない顧客」が明らかになった場合は、離脱兆候として捉えることができます。逆に「購入頻度が高く最近購入もしている顧客」は優良顧客と捉えることができるでしょう。
セグメントに分けた後は、「優良顧客」「ロイヤル顧客候補」「離脱リスク顧客」など、顧客の状態に応じて施策設計することがロイヤルカスタマー育成・維持につながります。
分析だけでは、顧客が「なぜその行動をとったのか」は見えません。
そこで、顧客の接点や体験を時系列で整理したカスタマージャーニーマップを活用します。
カスタマージャーニーマップとは、顧客とサービス・商品との接点、及びそこでの体験・感情を時系列に並べて視覚化したものを指します。
【作成例】
顧客の解像度が高まることで、顧客視点に立った戦略立案が可能となり、ロイヤルカスタマー育成につながります。
なお、カスタマージャーニーマップは一度作成して終わりではなく、実際の顧客行動や実施中のマーケティング施策と照らし合わせながら、定期的に見直し・更新していくことが成果につながるポイントです。
フュージョン株式会社では、1時間で作成できるテンプレートを配布しています。
ぜひご活用ください。
戦略を立てた後は、ただ施策を実行して終わりにするのではなく、必ず効果検証を行いましょう。
施策ごとにKPIを設定し、定量的に結果を把握することが必要です。「開封率」「購入率」「LTVの変化」などを軸に振り返りをすることで、施策の精度を高めていきます。
ある企業では、顧客の購買行動データをもとに分析を行い、セグメント別にダイレクトメール(DM)施策を展開しました。
RFM分析を用いて顧客を分類し、それぞれの状態に応じたアプローチを設計しました。具体的には、上位顧客に対しては特別オファーを提供し、関係性の強化と継続利用の促進を図りました。
一方で、購入頻度や最終購入日から離脱の兆候が見られる顧客に対しては、再来店や再購入を促す施策を実施。このように、顧客の状況に応じてコミュニケーション内容を出し分けることで、より効果的なアプローチを実現しました。
その結果、売上の向上に加え、リピート率の改善や顧客単価の向上といった成果につながっています。
この事例からも分かるように、分析に基づいたコミュニケーション設計は、ロイヤルカスタマーの育成において重要な役割を果たします。
詳細な事例については、以下よりご確認いただけます。
購買データをもとに顧客をランク付けし、特にS~Bランク(優良顧客からロイヤル候補層)に対して重点的な施策を実施しました。
まず、RFM分析などの手法を用いて顧客をランク別に分類し、それぞれの状態に応じたアプローチを設計しました。そのうえで、S〜Bランクの顧客に対しては、誕生日といった顧客にとって意味のあるタイミングを起点に特別オファーを提供し、関係性の強化を図りました。
さらに、特典を受け取ったものの未利用の顧客に対してはリマインド配信を行い、離脱防止と再購買の促進を実施。また、メールとメッセージ配信ツールを組み合わせることで、配信内容やタイミングを最適化し、顧客ごとの接触体験を高めました。
このように、顧客データに基づいてランク別にコミュニケーションを設計することで、一人ひとりに適したアプローチが可能となり、結果としてロイヤルカスタマーの育成につながります。
ロイヤルカスタマーの育成は、一度の施策で完結するものではありません。継続的な取り組みで施策の振り返りを実施し、顧客分析を起点にコミュニケーション設計を行うことで、LTV最大化につながります。
自社のCRM戦略を見直し、ロイヤルカスタマー育成にご興味のある方は、ぜひこちらをご参照ください。
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