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全体最適のためのマーケティング業務設計とは?効果と進め方を解説|フュージョン株式会社

作成者: Admin|Jul 10, 2023 2:31:08 AM



「業務設計」とは、業務のパフォーマンスを向上させるために業務プロセスを細かく分け、業務の手順を最適化することを指します。
一般的にはバックオフィス業務やシステム開発で使われることが多いですが、マーケティングにおいても業務設計は必須で、「マーケティングのPDCAがうまく回っていない」、「業務が属人化している」という課題の解消につながります。
このコラムでは、マーケティングにおける業務設計について、その効果と進め方を中心に解説します。

マーケティングにおける業務設計とは?

マーケティングにおける業務設計とは、マーケティング領域の業務の流れを可視化した上で、あるべき姿とのギャップを洗い出すことで本質的な課題を発見し、改善を図り業務全体を最適化するものです。

例えばメルマガ配信で、マーケティング部が配信内容を決め、対象者抽出を社内のシステム部に、クリエイティブ制作を外部の協力会社に依頼する、というケースを考えてみましょう。
いつもスケジュールがギリギリで業務がうまく回っていないという課題を感じているとします。
そこで、業務を整理するために下記の業務フロー図を書いてみました。

この図ではタスクが部署ごとにまとめられており、実行手順も書かれています。業務の可視化だけが目的であれば、これで事足りるでしょう。

しかし、このフロー図から、「いつもスケジュールがギリギリで業務がうまく回っていない」という課題の要因は見えてくるでしょうか?業務の全体像は把握できるものの、時系列での全体の流れがやや掴みにくく、スケジュールも記載がないため、どこで遅れが発生しているのかは見えてきません。
それを見える化するには、誰が、どのシステムで、どんなタイミングで、何をやっているのか、どこで遅れが発生しているのか、という業務の細かな流れを可視化し、ボトルネック(システムやプロセスにおいて、全体のパフォーマンスや効率を制限している要素)になっている部分を発見し解消することが必要です。
そこで、マーケティングの業務フローとして必要な要素を網羅した図が下記です。

※   ※本来の業務フロー図はもっと縦に長くなりますが、ここでは一部を抜粋して記載しています

この図では、横軸に担当部署と使用するツール、縦軸に工程と所要時間を書き出すことで、業務の流れが一目瞭然になっています。
この例では、所要時間の欄を見ると、企画案作成からリストの完成までは比較的スムーズですが、素材手配に20日がかかっていることがわかります。つまり、素材手配の遅れがボトルネックであったことが見えてきます。

そこで、素材手配が遅れる理由(本質的な課題)を深堀りしたところ、商品部に企画内容が正しく伝わっておらず、欲しい素材データがもらえず何度もやり取りが発生していることがわかりました。対策として、企画案ができた時点で商品部にも企画書を提出し、先に素材を準備してもらって制作会社に直接渡してもらうフローに変更したところ、スケジュールが大幅に改善しました。

このように、業務の一連の流れを可視化し、ボトルネックを発見して改善することがマーケティングの業務設計です。業務フローを変更すること自体は難しいことではありませんが、業務の全体が見えていないとどこに課題があるのかを自分たちで見つけることは案外難しいものです。
特にマーケティング業務は複数の部署を横断して実施することが多いため、その調整役として外部の力を借りるのは効果的です。社内の各部署がどのように業務を行っているのか聞き取りを実施し、ボトルネックとなりうる工程を探るのは、客観的な視点を持てる第三者に任せると進めやすいでしょう。

なぜマーケティングに業務設計が必要なのか?

デジタルマーケティングの民主化が進み、企業規模に関わらずCRMツールやメール配信ツールの導入、活用がされるようになりました。
しかし、ツールを導入してもそれをどんなフローで運用するかをしっかり設計できなければ、業務は属人化してしまいます。また、ツールの機能を十分に生かせないまま、運用費ばかりがかさみます。コスト面でのツール導入のハードルが下がった一方で、社内のマーケティング人員やスキルの不足という大きな課題もあります。
似た言葉として「運用設計」がありますが、これは日常的に使うツールの運用ルールや障害が起こったときの対応などを決めておくことを指します。運用設計はシステムをスムーズに運用することが目的なのに対して、業務設計はツールの運用方法にとどまらず、システムとそれを使う人の動きを総合的に捉え、業務がスムーズに回るように業務そのものを組み立てることを目的としています。
マーケティング戦略でデジタル施策が欠かせなくなっている今、ツールを運用する上でマーケティングの業務設計は必須ともいえるでしょう。
さらに、マーケティング業務でのChat GPTのような生成AIの活用が進んでいる中、現在の業務の中でどこをAIに任せ、どこを人が行うかの判断を求められることは必至です。今の業務の棚卸しとして業務の可視化を行い、業務フローを最適化することが必要です。

マーケティング業務設計で実現できること

EX(エンプロイエクスペリエンス)の向上

EXとは、従業員が働く上での総合的な体験のことです。その体験の質が従業員エンゲージメントに影響を与え、企業の生産性や競争力といったパフォーマンスにつながります。
マーケティング業務設計を実施することで、業務環境やフローが可視化・整備され、負荷が分散し属人性が下がります。業務が人につくのではなく仕組みとして整理されるので、担当者が変わっても業務レベルを維持できるメリットは大きいです。

CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上

CXとは、顧客が商品やサービスを利用する際の総合的な体験のことです。その体験の質が顧客満足度やロイヤルティに影響を与えます。マーケティング業務設計により、顧客との接点であるチャネルが最適化され、顧客一人ひとりに最適なタイミングで最適な情報が届くといった顧客体験の最適化につながります。

このように、マーケティング業務設計を行うと、企業の業務プロセス(内部)、お客様の顧客体験(外部)の両面で改善が実現できます。
業務を仕組み化することで、新たな課題が出てきた際にも、課題の所在を業務フローから検証して解消していくPDCAサイクルが回るようになり、結果として、定常的なマーケティング業務がブラッシュアップされ続けます。そして、CRM施策そのものの精度が上がり、ひいては企業の利益向上にもつながります。
マーケティング業務設計は、マーケティングシステムやオペレーションのような日々の運用業務の成果を上げることはもちろん、最終的には企業の利益にもつながる取り組みなのです。

マーケティング業務設計のコツは、「部分最適」ではなく「全体最適」で考えること

業務設計が必要な場面は、業務に何らかの課題を抱えている時です。そのため、目の前の課題を少しでも早く解決しようと急いで解決策を出したくなりますが、慌てず慎重に進めることが肝要です。
なぜなら、現状からすぐ解決策を導き出すと、その場の課題は解決できるかもしれませんが、マーケティング業務全体で見た時には部分最適にしかならないことが多々あるからです。

マーケティングの業務設計は、単に施策の運用設計をすることではなく「全体最適」でマーケティングを見直す取り組みです。「現状」と「あるべき姿」のギャップを課題と捉え、それを解決してこそあるべき姿に近づけていきます。

マーケティング業務設計の進め方

1.現在の業務の可視化と課題洗い出し(AS IS

初めに、業務設計を行う業務のスコープを決め、その業務の現在のフローを「業務フロー図」に書き起こします。横軸には、その業務に関わる部署や会社をお客様(エンドユーザー)に近い部署から順に並べると、業務の動きがわかりやすくなります。
縦軸には業務の流れを書きます。業務の流れはいくつかのフェーズに区切り、それぞれがどのくらいの期間で実行されているか(○営業日等)を記載しておくと、どこで時間がかかりすぎているのかが可視化されます。
この流れの上に業務(タスク)をボックスで入力し、業務同士のつながりを矢印でつないで業務終了までの流れができれば、業務フロー図は完成です。

各工程の中で、課題と感じることがあれば吹き出しで記入します。これが課題の洗い出しになります。
近い場所にたくさんの吹き出しが集まるところがあれば、そこがボトルネックであることが一目瞭然になります。

2.あるべき姿の検討(TO BE

次に、1と同じ手順であるべき姿の業務フロー図を書き起こします。
AS ISの問題ないところは活かしつつ、変えるべきところをあるべき流れに変更して書き換えます。
同時に、あるべき姿にするためにやらなければならないことを「課題管理表(エクセル)」に書き出していきます。基本的には、1で吹き出しに書いた課題が課題管理表に挙がっていくことになりますが、今は課題であってもあるべき姿には必要ないことであれば省いて構いません。

3.施策実行計画の策定(Action

次に、課題管理表に挙がった課題一覧に、取り組む優先順位を付けていきます。
主な判断基準は、下記3点です。

  1. 解決による効果の大きさ
  2. 緊急度
  3. コスト

そして、着手する課題が決まったら、改善の実行計画としてゴールの決定、実施スケジュール、ステークホルダーの洗い出しを行い、必要であればプロジェクトとして進行します。プロジェクト化するほどでもない場合でも、誰がいつまでに実施するかを決めて、計画通りに進んでいるかを随時確認します。こうしてTO BEの姿に近づけていきます。

業務フロー図は、「属人化した業務を可視化する」、「新しい施策を立ち上げる」など、業務の流れを仕組み化し日々の業務を最適化する際にも有効です。特に複数の部署が関わる業務において、誰がいつ稼働しているかが一覧でわかる業務フロー図は、業務の可視化において効果を発揮します。

マーケティングの業務設計ならフュージョンへ

このコラムでは、マーケティング領域での業務設計の成果と手順について解説してきました。社内外で関わる人が多くシステムも絡むマーケティング業務では、マーケティング戦略を実現するためのマーケティング領域の業務設計をしっかり行い、日々の業務がスムーズに回るように仕組み化することが大事です。
マーケティングの業務設計は、マーケティングの戦略と戦術をつなぐ重要な役割を果たすものであるとも言えます。業務の最適化、リソースの最適化につながり、ひいては企業の利益向上にもつながるのです。

マーケティングに関わる方々は、個人の業務管理として業務フロー図を整理したり課題を洗い出す作業を日常的に行い、無意識のうちに業務設計をやっている方が多いかもしれません。その結果、複数の役割を兼務し業務を抱えてしまったり、人員が不足し業務が属人化していることが多いのも現状です。このギャップを埋めるのは、チームとしてマーケティング業務設計を行いステークホルダーが共通認識を持って業務に取り組むことに他なりません。
フュージョン株式会社では、マーケティング会社として30年以上にわたり企業のマーケティングを支援してきた実績と経験に基づき、マーケティング業務設計支援サービスを提供しています。

私たちがご提供するマーケティングの業務設計のフレームワークは、業務フロー図と課題管理表をはじめとするみなさんにもなじみがあるフォーマットを、マーケティング業務に合わせてカスタマイズしたものです。
マーケティングの業務設計の目的はマーケティング施策(戦術)を円滑に進めることであり、私たちはクライアント企業の視点と第三者の視点の両方を持って、クライアントに伴走しながら客観的かつ俯瞰的に業務を棚卸しし、その施策の実行までをワンストップでご支援しています。

自分の業務の棚卸は自分で消化するのが当然、と抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。


フュージョン株式会社公式noteでは、マーケティング業務設計支援サービスの開発に関わったメンバーが、立ち上げの経緯や苦労した点、サービスの強みについて語った記事を公開しています。
あわせてご覧ください。
https://note.com/fusion_ltd/m/m5265c6731f8d

【参考コラム】
CRMとは?マーケティングとの違いの有無や、CRM領域での課題解決の流れ