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購買データ×顧客データで顧客理解を深化しCRM戦略設計を最適化|フュージョン株式会社​

作成者: Admin|May 26, 2025 5:20:00 AM



「大量の購買データはあるのに、意思決定につながらない」
「数字を眺めるだけで終わり、次のアクションに結び付かない」
そんな声をマーケティング現場で耳にします。
データ分析担当者はレポート作成に追われ、施策担当者は勘と経験に頼りがちになり、結果として顧客の期待と企業の施策がすれ違う。
本記事では、このギャップを埋めながら購買データを活用し、顧客関係を強化する方法を解説します。

企業がつまずく三つの落とし穴

データの断片化

部門やチャネル単位でファイルが分かれ、「同じ山田太郎さん」が EC ではID=123、店舗では会員番号 A-98 とバラバラ。
購買履歴・ポイント残高・問い合わせ履歴をつなぎ合わせられず、結果として“誰に何を届けるか”の解像度が上がりません。  

スピード不足

月次でExcelを更新し、レポートを作成してから施策を検討する。
この報告会議実行サイクルが 3060 日かかる企業は珍しくありません。
競合がリアルタイム施策を打つ時代、タイムラグは機会損失そのものです。

KPI不一致

経営層はLTVで投資判断を下したいのに、現場は開封率・クリック率を追い、話がかみ合わない。
KPIの優先度を揃えなければ、施策は点在し、成果も分散してしまいます。

これらはすべて、CRMの視点で顧客関係を再設計することで乗り越えられます。
詳しくは下記のコラムで解説しています。あわせてご一読ください。

 【参考コラム】
CRM戦略とは?重要性・メリットとCRM戦略設計の4ステップを解説

顧客を知る第一歩は「データの一元化」から

最初に取り組むべきは、データを一つにまとめることです。CDP(カスタマーデータプラットフォーム)を導入してPOSEC・会員情報・問い合わせ履歴を共通キーで紐づければ、顧客を立体的にとらえられます。
また、BIツールを導入してリアルタイムで更新されるダッシュボードがあれば、「いま何が起きているか」を社内で共有しやすくなり、打ち手も早まります。

統合が済んだら、現状診断です。例えばLTVを最上位の指標に据え、その内訳となるリピート率・平均注文額・購入間隔を確認すると、課題がどこに潜んでいるかが見えてきます。課題からKPIを設定することが、後の施策を的確にする鍵です。

会員データの分析からKPI設定のご支援事例もありますので、ぜひご覧ください。

【参考事例】
店舗アプリデータ分析に基づくKPIマネジメントの仕組み化

データに基づく顧客定義で顧客を数字で見分ける

顧客定義とは特定のルールで顧客をいくつかのセグメントに分類することを指します。
その際、購買データから顧客をセグメントする最も実践的な手法が RFM 分析 です。
Recency(最近の購入日)、Frequency(購買頻度)、Monetary(累計購入金額)の3つの指標で顧客を評価・セグメントできます。

上記画像ではR×Fによるセグメントを行っていますが、優良顧客や新規顧客、離反手前客など、データに基づく顧客定義が可能となります。
ここからセグメント別にどのような施策を打つのかも併せて決めることができます。

また、RFM分析だけでなく機械学習モデルを用いて、LTVの予測や離反確率を計算すると、同じRFMスコアでも扱いを変えるべき顧客が浮かび上がります。

バスケット分析による購買データの活用方法

顧客定義だけでなく、商品軸の分析も併せて行うことで、後述するCRM戦略立案に役立ちます。
代表的なものとしてバスケット分析があります。

目的:顧客が同時に購入しやすい商品・サービスの組み合わせ(アソシエーション)を明らかにし、クロスセルやアップセルの精度を高める。

仕組み:取引(バスケット)ごとに「Aを買った人はBも買う」などのルールを抽出し、次の4指標で評価します。

  • 支持度(support)…全取引に占めるA&B同時購入の割合。
  • 信頼度(confidence…Aを買った人がBも買う確率。
  • 期待信頼度(expected confidence全体に対するB購入の割合。信頼度と比較し、上回っているかを判定軸に使う。
  • リフト値(lift … ABの同時購入が偶然起きる確率に対してどれだけ高いか(>1 なら正の関連)。

【読み取りのポイント】

  • 支持度は2%以上あれば施策対象として十分な規模
  • リフト値が2を超えるペアは優先的にクロスセル候補に
  • 信頼度 > 期待信頼度を必ず確認し、偶然性を排除

こうして得た数字を基に、担当者がペルソナを描き直すと、施策設計が格段に進めやすくなります。ペルソナには購買行動だけでなく期待や不安をストーリーとして盛り込み、次の章で紹介するカスタマージャーニーマップへつなげます。

成果を伸ばす施策設計

ペルソナが鮮明になったら、カスタマージャーニーマップで体験の流れを整理します。
例えば「検討段階ではクチコミを重視する優良顧客」が、「購入後はアフターサービス情報をほしがる」ことが分かれば、メール内容もタイミングも変わってくるはずです。

カスタマージャーニーマップの大きな役割は、「誰に」「何を」「いつ」届けるのかを設定することです。
そうすることで、ジャーニー上のタッチポイントごとに「顧客の期待」と「実際の企業のアクション」を並べ、期待を下回っている箇所を優先度順に是正できます。
これが最終的な成果、購入継続率やアップセル率を底上げします。

購買データで実現する3つのコミュニケーション施策

ペルソナとカスタマージャーニーマップで戦略が定まったら、実際にコミュニケーション施策に落とし込む必要があります。
それには購買データをトリガーとパーソナライズの両面で活用することが鍵になります。ここでは代表的な3つのコミュニケーション施策を取り上げ、購買データをどう使うかを整理します。

リテンション強化

「もう少ししたら買う予定」の顧客を逃さず、平均購入間隔を短縮することが目的となります。
ECの場合は定期購入(サブスクリプション)への転換も大きなレバレッジになります。

購入2回目で定期購入のポップアップを表示したり、前回購入日からある程度の期間が経ったらリマインドメールを送ったりすると効果的です。

実際に行う際には、RFM+機械学習で"次回購入確率"を算出し、80%以上のセグメントに優先的にオファーを送る、A/Bテストでリマインド頻度を週次vs隔週で比較し、開封率・転換率の検証などで、より成果を高めることが可能です。

クロスセル・アップセル最適化

1注文あたりのバスケット単価(AOV)と顧客生涯価値(LTV)を最大化することが目的となります。
バスケット分析で関連商品の購入傾向をつかみ、適切なレコメンドを実施します。
高頻度購入者には単価の高い商品を提示し、客単価を引き上げます。

レコメンドを行う際は、在庫状況と連動し欠品商品の提案を自動抑制し、顧客体験を損なわないことが重要です。

休眠・離反防止

離反確率が高い顧客には、利用シーンを喚起するコンテンツや限定クーポンを届けます。ここでも「誰に」「何を」「いつ」届けるかを購買データで定量化すると、コストを抑えつつ効果的にアプローチできます。

また、キャンペーン終了後のLTVを追跡することで、割引目当ての一過性購買か、継続利用につながったかの判断が可能です。

成果を測り、学習サイクルを回す

施策を行った後には必ず効果検証を行います。
当初に設定したKPIは達成されているのか、達成できていない場合は何が原因なのか、PDCAサイクルを回しながら、施策の成果を高めていきましょう。

CRMでの購買データの活用ならフュージョンにお任せください

購買データは集めただけでは価値を生みません。顧客の期待を見極め、適切なタイミングで最適な体験を届ける。
その循環を回すことで初めて、顧客関係は強化され、施策の成果は伸びていきます。

ただし、データ統合や機械学習モデルの構築、継続的なPDCAを社内リソースだけで行うのは簡単ではありません。
フュージョン株式会社はデータ統合・分析から戦略設計、ツール導入・運用をワンストップで提供し、貴社の課題解決に向けて伴走支援します。