「施策を打つとき、どのチャネルが効率的なのか分からない」
「オンライン施策中心でやってきたが、成果の頭打ちを感じている」
いろいろなチャネルを使っているけど、いつもなんとなく選んでいて、見直しができていない」
マーケティングご担当者の方から、このような声をよく伺います。
SNS、メルマガなどのオンラインツールから、紙のダイレクトメール(以下、DM)、チラシ、新聞広告のようなオフラインツールまで、現在では多様なチャネルが登場し、手軽に施策を始めることができます。
そんななか、チャネルの選択は「何を発信するか」よりも、「誰のどんな状態のときに届けるか」が重要です。
本記事では、CRM戦略に合わせた購買フェーズごとの「顧客の状態に合わせた、最適なチャネルの組み合わせ方」を解説します。
顧客へ最適なアプローチを行うためには、「そもそも購買チャネルとは何か」という基礎と、どのような種類が存在するのかを正しく理解しておくことが重要です。
購買チャネルとは、企業が商品やサービスを顧客へ届けるための接点や流通経路のことです。購買チャネルは英語で「Purchasing Channel(販売側の視点ではSales Channel)」などと表現されます。単に商品を販売する場所という意味にとどまらず、顧客が自ら情報収集し、比較検討した上で納得して購入するための、重要なコミュニケーションの場としての役割も持っています。
顧客へ商品が届くまでに介在する業者の数によって、チャネルは主に以下の種類に分けられます。
直販(0段階チャネル): 企業が直接顧客へ販売する方法(自社のECサイトや実店舗など)。顧客と直接つながるため、中間マージンを省き利益を得やすいのが特徴です。
間接流通(1〜複数段階チャネル): 卸売業者や小売業者などを挟んで展開する手法です。自社だけで販売するよりも、広範囲に流通網を広げやすいメリットがあります。
取り扱う商材が消費財か生産財かによっても、適した経路は大きく異なります。
BtoCの場合: 不特定多数の顧客のニーズに広く応えるため、スーパーなどの小売店舗やオンラインショップといった間接流通を含めた多角的な経路が必要になります。
BtoBビジネスの場合: 特定の事業者を対象とするため、メーカー直販や専門の代理店を通じた、より限定的で密接なアプローチが主流となります。
現代ではインターネットの普及により、実店舗だけでなくデジタルな顧客接点が急激に増えています。ここで注意すべきは、単に流行りのチャネルを導入するだけでは成功しないということです。事前に市場や購買チャネル調査を徹底して行い、ターゲットの行動特性や会員属性に合わせた経路を選定することが不可欠です。チャネルありきで考えるのではなく、「まずは顧客の姿を正しく理解すること」がすべての起点となります。
効果的なチャネル選びは、戦略設計が整っていなければ機能しません。
そのために、顧客の姿や心情をしっかり想像しておきましょう。
施策のチャネル選びが整理できない背景には、「誰に・どのタイミングで・何を届けるか」がまず整理できていないことがあります。
認知段階では情報を広く集めたい、検討段階では比較して納得したい、継続利用では手間なく使い続けたいなど、顧客の求めるものはフェーズによって変化します。
同じ施策を全てのフェーズに流しても刺さらないため、顧客の状態に合った接点(チャネル)を選ぶことが必要です。
例えば、SNSは認知獲得に強い一方、深い商品理解を促すにはDMのようなじっくり読めるチャネルが向いています。
各チャネルの特性を理解し、顧客の状態にフィットする役割を担わせることが、成果への近道になります。
日々の運用に追われる中で、「とりあえず続けている施策」が生まれやすく、これが予算の目詰まりの原因になります。
効果が振るわない施策を惰性で続けるのではなく、「顧客にとって必要かどうか」という視点で見直すことが重要です。
戦略があれば、止めるべき施策と投資すべき施策の判断軸が明確になり、チャネル設計の精度が高まります。
これらに気を付けつつ、まずは以下の2つを整えることが不可欠です。
顧客のペルソナが曖昧な場合はしっかり具体化しておきましょう。
購買行動、情報源、チャネルの接触頻度などを具体的に整理することで、顧客に合わないチャネルを排除できます。
\ ペルソナ設計から見直したいという方はこちら! /
カスタマージャーニーマップは、認知、比較検討、購入、利用、再購入…と変化する顧客の状態に対して、最適な接点(チャネル)を設計するための土台になります。まだ作っていない、もしくは最近見直せていない、社内で共通認識として共有されていないといった場合は、こちらに着手しましょう。
\ カスタマージャーニーマップ設計から見直したいという方はこちら! /
ペルソナやカスタマージャーニーマップをはじめとしたCRM戦略設計については、こちらのコラムをご参照ください。
CRM戦略設計が整ったら、フェーズごとに施策のチャネルを選びましょう。
下記のようなイメージで、顧客フェーズに合わせて、どんなチャネルを使うか整理していきます。
認知拡大・初回購入を促すときは、マス広告やSNS、LPなどがよく選ばれます。
CPRの高い媒体を切るのではなく、より顧客化につながるチャネルを残すという発想が重要です。
■主なチャネル例
また、チャネル選び以外にも、初回購入の意欲を後押しする「オファー設計(特典・限定情報)」も有効になってきます。オファーの魅力的な伝え方も合わせて考慮しましょう。マーケティング施策の成果を上げるオファーの役割については、以下のコラムもご参照ください。
\ オファーの設計の仕方を知りたい方はこちら! /
初回購入直後はブランドへの理解・信頼が浅く、次に買う理由が明確でないことが多く、EC・店舗でもっとも離脱が起こりやすいフェーズです。
オンライン×オフラインのハイブリッドが効きやすいため、うまく組み合わせることもポイントです。
情報過多を避け、タイミングを合わせて複数チャネルを組み合わせましょう。
例えば、EC顧客向けには、紙DMで商品価値を丁寧に伝え、実店舗顧客には、LINEで手軽なフォローをするなど、顧客に合わせたコミュニケーションが重要です。
■主なチャネル例
フュージョンがご支援したトヨクモ様では、オンライン施策だけではなく、DMなどのオフライン施策を追加して組み合わせたことで、オンラインで接触できない顧客にもアプローチ。より効果的な顧客コミュニケーションを実現しました。
それまでは、新規獲得や既存顧客へのクロスセルのためにオンライン施策を中心に行っていましたが、普段からWEBで情報検索しない方が一定数存在し、お客様にメールを送っても開封率は40~60%がほとんどでした。
このことから、残りの方々に接触するためにオフラインのチャネルを検討され、その接点が検討の後押しとして機能し、顧客の行動を前進させました。
フュージョンでは、既存顧客向けのイベント参加を促す告知DMなどをご支援しました。
一度離脱した顧客が再び検討するタイミングでは、顧客が欲しい情報により限定し、情報負荷の少ないチャネル選択が鍵になります。
SNSやアプリなどは、顧客の生活導線に自然に入り込めるようなチャネルなど、押しつけ感のないコミュニケーション設計が重要です。
また、価格訴求より、レビューや事例など、比較のための検討材料が効果的です。
■主なチャネル例
この段階では、顧客への通知過多による疲弊が最大の課題です。
そのため、「チャネルの引き算設計」が重要になってきます。
必要な情報を必要なタイミングだけ届け、そもそも通知しなくても使いやすい設計(UI改善・FAQ)もチャネルの一部と捉えましょう。
■主な施策例
各チャネルの特性については、以下のコラムでも解説しているのでご参考にしてください。
顧客の購買フェーズに合わせて複数のチャネルを使い分けるようになると、次に直面するのが「各接点での体験をどう繋ぐか」という課題です。
複数の接点を持つ「マルチチャネル」と、近年主流の「オムニチャネル」は混同されがちですが、明確な違いがあります。
マルチチャネルは、店舗とECサイトなど複数の経路が存在しているものの、それぞれが独立して稼働している状態です。一方オムニチャネルの真の目的は、「顧客体験を分断しないこと」にあります。オンラインで商品を検索し、店舗で実物を確認してからアプリで購入するなど、実店舗とデジタルの間を顧客がストレスなく行き来できるシームレスな状態を作ることが本質です。
チャネルを多角的に展開しつつ顧客体験を繋ぐためには、それぞれの経路で得た情報が分断されるリスクを防がなくてはなりません。適切なシステムを導入し、顧客データや在庫状況をひとつの統合基盤(プラットフォーム)で一元化することが重要です。これにより、どのチャネルからでも一貫したスムーズな対応が可能となります。
チャネルが統合された一貫性のある優れた顧客体験は、顧客の購買意欲を促進し、長くブランドを愛用してくれるリピーターを獲得するために大きく役立ちます。
企業都合でむやみにチャネルを増やすこと=最適化ではありません。大切なのは、「誰に・いつ・何を・どのチャネルで届けるのか」という顧客視点です。ここでは、自社に適したチャネルを構築し、継続的に運用していくための具体的な流れを解説します。
まずは、既存のデータや市場調査を活用してターゲット像を絞り込みます。「顧客にとってどの経路が最も自然か」を基準に、直販にするか中間業者を挟むかなど、流通経路の長さを決めます。新たな経路を構築する際には、前述のオムニチャネル展開を視野に入れ、顧客体験を分断しない戦略を採用することが効果的です。
チャネルを稼働させるためには、決済・物流・情報のフローが顧客にとって滞りなく回るかを検証する必要があります。とくにECサイトなどを立ち上げる場合は、セキュリティ対策や外部ツールのサポート体制をしっかり確保し、顧客情報を安全に管理できる環境を整えておくことが大切です。
購買チャネルは、一度作って終わりではありません。定期的に数値を分析し、「今のチャネルが本当に顧客の役に立っているか」を問い直し、改善を繰り返すことが不可欠です。
チャネルを増やすことが目的にはなっていませんか?
チャネルは本来、企業の配信手段ではなく、「顧客体験のインターフェース」 です。
チャネル設計のポイントは、
です。
CRM戦略設計(ペルソナ・カスタマージャーニーマップ設計)がすべての前提になりますので、まずはこちらを振り返ってみましょう。
\ チャネル選びに迷いがある方は、まずは戦略設計から整えましょう! /
フュージョンでは、オンライン・オフラインを問わず、さまざまな顧客接点を組み合わせたコミュニケーション設計をご支援しています。
重要なのは、単に複数のチャネルを活用することではありません。顧客データや購買行動、顧客ニーズをもとに、どの顧客に、どのタイミングで、どのチャネルから、どのようなコミュニケーションを届けるべきかを設計することが、顧客との継続的な関係構築につながります。
フュージョンでは、こうした顧客理解を起点としたCRM戦略の設計から、オンライン・オフラインを横断したコミュニケーションプランニング、コンテンツ制作やキャンペーンの実行、効果検証・改善まで、課題やご予算に応じて柔軟にご支援します。
「オンラインとオフラインの施策が分断されている」「チャネルごとの施策は実施しているものの、一貫した顧客コミュニケーションになっていない」「顧客データを活用して、次にどのような施策を行うべきかわからない」といった課題をお持ちの方は、ぜひフュージョン株式会社にご相談ください。