現在は、商品やサービスの機能や価格だけで差別化することが難しく、顧客との継続的な関係構築が企業の競争力を左右していると言えます。
大事なのは、顧客とどのような関係を築きたいのかを明確にすることです。
顧客のニーズや行動を理解したうえで、一貫性のあるコミュニケーション体験を設計できる企業は、顧客ロイヤルティを高め、LTV(顧客生涯価値)の向上につなげています。
そのためには、顧客理解を起点に、一貫した顧客体験を設計することが重要です。
その積み重ねが、顧客との長期的な関係構築につながります。
この記事では、アシックス商事、POLA、ベルメゾン、コープデリの事例をもとに、顧客理解を顧客体験へとつなげるコミュニケーション設計の考え方や、ロイヤルティ・LTV向上につながる実践ポイントを解説します。
| 【目次】 ・LTV向上のカギとなる「顧客体験(CX)」 ・顧客理解をコミュニケーション設計に活かすには ・顧客理解と体験設計をつなぐカスタマージャーニー設計 ・LTV向上につながる顧客コミュニケーションの成功事例 ・CXを起点にLTVを最大化するために、フュージョン株式会社にご相談を |
近年、多くの企業がLTV(顧客生涯価値)の向上を重要な経営課題として捉えています。その中で注目されているのが、顧客体験(Customer Experience:CX)です。
CXとは、顧客が企業やブランドとの接点を通じて得る体験の総体を指します。商品やサービスを購入・利用する場面だけでなく、広告、Webサイト、メール、SNS、店舗での接客、カスタマーサポートなど、顧客が企業と接触するすべてのプロセスが含まれます。
良質なCXは、企業やブランドへの信頼や愛着を醸成し、長期的な関係構築を通じて、顧客ロイヤルティの向上にも大きく貢献します。
「顧客ロイヤルティ」とは、顧客が企業やブランドに対して抱く信頼や愛着、継続利用したいという意向を指します。
例えば、問い合わせへの対応が迅速で丁寧だった、自分に合った提案が届いた、購入後のサポートが充実していたなど、顧客にとって価値のある体験は企業への好意的な印象として蓄積されます。その結果、「また利用したい」「このブランドなら安心できる」という気持ちが生まれ、ロイヤルティの向上につながります。
顧客が何を求めているのか、どのような行動を取っているのかを把握できれば、顧客の期待に応える体験を提供することが可能となります。
近年はデジタル技術の発展により、企業はさまざまな顧客データを取得・分析できるようになりました。これらのデータを活用することで、顧客一人ひとりのニーズや購買傾向を把握し、より適切なコミュニケーションやサービス提供につなげることができます。
顧客理解のために活用される代表的なデータには、次のようなものがあります。
購買データ
購入商品や購入金額、購入頻度などのデータです。
行動データ
Webサイトの閲覧履歴、アプリ利用状況、メールの開封・クリック履歴などのデータです。
会員データ
年齢や居住地、家族構成、会員ランクなどの顧客属性に関するデータです。
アンケートデータ
顧客満足度調査やNPS®調査、自由回答などから得られるデータです。
顧客データ活用で重要なのは、顧客理解をもとに「この顧客とどのような関係を築きたいのか」を考え、顧客一人ひとりに最適な体験やコミュニケーションを設計することです。
購買や行動といった「事実」に加え、アンケートや調査から得られる「意識・感情」も捉え、なぜその行動が起きているのかを考えることが重要です。
顧客理解で得られた知見を顧客接点や施策に反映してこそ、より良いCXの実現につながります。
そのために重要となるのが、顧客が商品やサービスを認知し、利用し、継続的な関係を築いていくまでのプロセスを可視化するカスタマージャーニー設計です。
より良いCXを実現するには、「誰に」「何を」「いつ」「どのような方法で届けるか」を設計し、顧客視点で体験全体を最適化することが重要です。
また、顧客理解だけでなく、自社が提供できる価値や強み、ブランドとして伝えたいメッセージを整理・明確化することも重要です。
この2つを掛け合わせ、顧客との接点を時系列で整理したカスタマージャーニーを設計することで、顧客にとって価値のある体験を提供できるようになります。
カスタマージャーニーを設計することで、各接点で顧客が何を考え、何を求めているのかを把握し、それに応じたコミュニケーションを計画的に実施できるようになります。
優れたCXを実施する企業に共通しているのは、顧客とのコミュニケーションに一貫性があることです。顧客は企業との接点ごとに異なる体験をするのではなく、統一されたブランド体験を期待しています。
そのため、以下のような視点でコミュニケーションを設計することが重要です。
顧客に合わせた情報提供
顧客の属性や購買履歴、興味関心に応じて提供する情報を変えることで、顧客は「自分にとって価値のある情報だ」と感じやすくなります。
最適なタイミング
どれだけ有益な情報でも、届けるタイミングを誤れば効果は十分に発揮されません。顧客の検討状況や利用状況に合わせてコミュニケーションを行うことで、体験価値を高めることができます。
チャネル横断での体験設計
顧客はWebサイト、メール、アプリ、SNS、店舗など複数のチャネルを行き来しながら企業と接しています。そのため、特定のチャネルだけでなく、チャネルを横断した一貫性のある体験設計が求められます。
ここでは、フュージョンが支援した事例の中から、顧客ロイヤルティ向上につながった4つの事例を紹介します。
■顧客コミュニケーション設計のポイント
この施策では、ECサイトでは難しい試着体験を疑似的に再現することで、商品理解を深めながら購入検討を後押ししました。着用イメージを体感してもらうために、外面にほぼ原寸大のスニーカー画像を印刷。足入れ部分の点線に沿ってカットすることで自分の足首を入れて、疑似的に試着できるように設計しました。
アシックス商事では、顧客一人ひとりとの継続的な関係構築を目的に、顧客理解に基づいたコミュニケーション施策を展開。顧客データを活用し、ターゲットの絞り込みには、CPM分析を用いて、優良顧客やDMへの反応が良さそうな顧客を抽出。離反期間が810日までの顧客がDMへの反応が高いという過去実績データも参考に抽出を行いました。
前年同時期に実施した別モデルでのDM施策との比較で142.9%増の購買者数を記録する結果となりました。
■顧客コミュニケーション設計のポイント
商品消費サイクルに合わせた最適な接触タイミングを設計することで、「必要なタイミングで、必要な情報が届く」DM施策を実施しました。また、「POLA」と「前回購入商品」が伝わる上品で透過性のあるトレーシングペーパー封筒を採用し、開封を促すギミックとした、F2転換率促進を目的としたDMです。
これまで購買間隔に関わらず3か月に1回投函していたDMを、タイミングとクリエイティブを改善しました。
タイミングはデータ分析に基づく商品消費サイクルに合わせ、クリエイティブは従来の圧着DMから、ロイヤルティ向上につながる封書DMへと変更しました。
F2転換率の向上とクロスセルを図り、F2転換率は200%、クロスセル併売率については300%と、大きく効果を発揮しました。
■顧客コミュニケーション設計のポイント
顧客との関係維持を目的に、ブランドとの接点そのものを楽しめる体験として設計した施策です。
クリスマスまでの日にちを数えて楽しみに待つ「アドベントカレンダー」のデザインに、ベルメゾンで人気の6ブランドの10商品のパウチサンプルを封入したDMです。
優良顧客に対して、2月、5月、9月の年3回のカタログの発送の空白期間である12月にDMを送り、さらなるファン化とクロスセルを狙いました。
DMを送付した顧客の60%以上が化粧品を購入するという結果になりました。
■顧客コミュニケーション設計のポイント
コープデリでは、ペルソナやカスタマージャーニーを設計し継続的なe-mail配信を実施しました。
コープデリの宅配サービスで「資料請求」や「おためしセット」を申し込んだ顧客に向けて、新規Web加入を促進する定期的なe-mail配信を支援。はじめにペルソナやカスタマージャーニーを設計し、その後はe-mail施策の運用・改善を継続的に行っています。
これらの事例に共通しているのは、単なる販促施策ではなく、「顧客とどのような関係を築きたいのか」を明確にしたうえでコミュニケーションを設計していることです。
顧客理解をもとに体験を設計し、継続的なコミュニケーションにより信頼や愛着を育み、長期的な関係へと発展させることこそがCRMの本質です。
こうした取り組みを継続することで、CX向上や顧客ロイヤルティ向上、LTV最大化につながります。
フュージョン株式会社では、CRM戦略の立案から顧客分析、顧客理解に基づくコミュニケーション設計、カスタマージャーニー設計、施策実行・効果検証まで一貫して支援しています。
顧客データを活用しながら、一人ひとりに最適な顧客体験を設計することで、顧客ロイヤルティ向上とLTV最大化をサポートします。
「顧客理解をCX向上につなげたい」 「ロイヤルカスタマーを増やしたい」 「LTV向上に向けてCRM施策を強化したい」そのような課題をお持ちの方は、ぜひフュージョン株式会社へご相談ください。