EC・通販市場では広告費の高騰や競争激化により、新規顧客の獲得だけで売上を伸ばし続けることが難しくなっています。そのため近年は、既存顧客との関係を深め、LTVを高めるCRM施策への注目が高まっています。
しかし実際には、「メールを送っても開封されない」「LINE登録者が増えない」「広告で追いかけても反応しない」といった課題を抱える企業も少なくありません。
このような状況の中で再評価されているのがDM(ダイレクトメール)です。紙媒体ならではの到達力や存在感を活かし、デジタル施策だけでは接触できない顧客との関係構築を実現できます。
本コラムでは、EC・通販事業におけるLTV向上を実現するためのDM活用方法を、初回購入後フォロー、休眠顧客の掘り起こし、優良顧客育成の3つのフェーズに分けて解説します。
| 【目次】 ・EC・通販事業が直面する課題 ・なぜ今、EC・通販マーケティングで「DM」が再注目されるのか? ・【フェーズ別】LTVを高めるDM活用のポイントとシナリオ設計 ・成果が出るEC向けDM設計のポイント ・適切なDM施策で顧客との関係を深め、LTVを最大化する |
近年、EC・通販事業ではデジタルマーケティングへの投資が拡大しています。しかしその一方で、広告費の高騰や競争激化により、これまでと同じ施策を続けても成果が伸びにくくなっています。実際に、広告運用担当者を対象とした調査では、Web広告の運用成果に対して約51%が「満足していない」と回答しています。
また、2025年の日本の広告費ではインターネット広告費が全広告費の約50%を占めるまでに拡大し、多くの企業が同じ顧客に対して広告や情報発信を行う状況になっています。
その結果、
といった課題が発生し、顧客との関係構築が難しくなっています。
このような課題から、近年は顧客を継続的に育成するCRMの重要性が高まっています。顧客の購買ステージごとに最適なコミュニケーションを設計し、購入体験を積み重ねていくことがLTV向上の鍵となります。
DM(ダイレクトメール)とは、商品やサービスを訴求する目的で、企業から個人宛に送付する広告を指します。DMは主に新規顧客の獲得と既存顧客の育成に活用でき、BtoB企業とBtoC企業いずれの場合でも有効なマーケティング施策です。
DMの役割、制作のコツなどはこちらのコラムで詳しく解説しています。
EC事業ではメールマガジンやLINE、アプリプッシュ通知などが広く活用されています。しかし、消費者は日々大量の情報に接しており、企業からのメッセージは埋もれやすくなっています。
また、メールアドレス変更やアプリ利用停止によって接点そのものが失われるケースもあります。特に休眠顧客になるほどデジタルチャネルへの反応率は低下し、接触機会の確保が難しくなります。
その点DMは、住所情報があれば物理的に顧客の手元へ届けることができます。受け取りを前提としたメディアであるため、少なくとも一度は認知される可能性が高い点が大きな特徴です。
DMが再評価されている背景には、「届くだけでなく読まれる」という特長があります。
一般社団法人日本メーリングサービス協会の「DMメディア実態調査2025」によると、自分宛てに届いたDMを読んだ人は56.0%でした。さらに、DMはメールよりも「ほとんど開封して目を通す」と回答した割合が高く、情報過多の時代において貴重な接触機会として機能しています。
デジタル施策だけでは接触できない顧客に対して、物理的に手元へ届き、一定の閲読機会を確保できる点がDMの大きな強みです。
デジタル×オフライン併用の相乗効果
現在のDM活用は、紙だけで完結するものではありません。
例えば、メール未開封者にDMを送る、DMのQRコードから特設ページへ誘導する、DM送付者へWeb広告を配信するなど、オンラインとオフラインを組み合わせた設計が一般的になっています。
顧客側から見ると複数チャネルで一貫したメッセージを受け取ることになり、企業側は接触機会を増やしながら顧客行動を計測できます。
DMはデジタル施策の代替ではなく、成果を高めるための補完チャネルとして機能するのです。
LTV向上を考えるうえで最も重要なのがF2転換です。F2とは、初回購入者を2回目購入へ導く施策を意味します。
初回購入直後の顧客はブランドに対する関心と期待が最も高い状態にあります。一方で、「使い方がわからない」「効果を実感できない」「次に何を買えば良いかわからない」といった不安も抱えています。
そこでDMでは次のような内容を届けることが有効です。
例えば化粧品通販であれば、商品説明書をDM形式でわかりやすく届けることで継続利用を促進できます。
<F2転換事例>
株式会社ポーラでは、初回購入者向けDMの送付タイミングを顧客の商品消費サイクルに合わせて見直し、更にクリエイティブを圧着DMから封書DMへ変更しました。
その結果、F2転換率は200%伸長し、併売率も300%に向上しました。単に販促情報を届けるのではなく、ブランド理解やロイヤルティ形成につながるコミュニケーションへ転換したことが成功要因とされています。
詳細はこちらからご覧ください。
過去に購入実績があるにもかかわらず一定期間購入していない顧客は、休眠顧客と呼ばれます。
休眠顧客は一見すると離反したように見えますが、すでに自社を認知していることから、新規顧客より低コストで売上につながる可能性があります。
休眠顧客向けDMでは、再購入のきっかけを明確に提示することが重要です。
例えば以下のようなオファーが考えられます。
<参考事例>
株式会社いなげやでは、休眠顧客へ再来店促進DMを送付しました。それも単にDMを送るのではなく、1か月後に失効するポイント残高を伝えることで、来店を促しました。
また、送付後にコールセンターよりお電話でも通知することで、更なるフォローを図りました。
その結果、DM送付者の約25%がポイント失効前に来店し、未送付者と比べて約20%の再来店率となりました。
このように、休眠顧客施策では、誰に・どのタイミングで送るかも重要です。最終購入日や累計購入金額をもとに優先順位を決めることが成功要因となります。
詳細はこちらからご覧ください。
多くのEC事業では売上の大部分を優良顧客が支えています。そのためLTVを最大化するには、優良顧客との関係をさらに強化する施策が欠かせません。
優良顧客向けDMの目的は販売促進だけではありません。ブランドとのつながりを感じてもらい、競合に流出しない関係を築くことです。
具体的には以下のような施策が有効です。
DMは紙というメディア特性上、手間やコストをかけて届けていることが伝わりやすく、特別感の演出に向いています。
<参考事例>
株式会社ケイシイシイでは、優良顧客ならではの1年間使える特典を案内する「LeTAOスマイルパスポート」を軸に、人気の高い季節のスイーツカタログDMや誕生日DMを連動させたDMを年4回にわたって送付しました。
1年間に複数回DMを送付してリマインド効果を高めると同時に、顧客の誕生月にも送ることで、特別感を演出し、購入を促進しました。
その結果、レスポンス率(注文件数)は81.6%、対前年比132%アップし、客単価も対前年比114%向上しました。売上は前年比234%で過去最高となりました。
顧客ごとの関係性を踏まえたコミュニケーションによって、継続的な購入促進を図ることが
成功要因の一つです。
詳細はこちらからご覧ください。
フュージョン株式会社では、その他にもDM事例を用意しています。
ご興味のある方はぜひご覧ください。
DMの成果はクリエイティブよりもターゲティングで決まると言っても過言ではありません。
購入回数、累計購入金額、最終購入日などのデータを活用し、顧客を分類しましょう。
例えば初回購入者と優良顧客では興味関心や期待する内容が異なるため、同じDMを送るべきではありません。
顧客が求めている情報はタイミングによって変化します。
購入直後であれば活用ガイド、購入から数か月経っている場合は再購入提案、優良顧客であれば限定情報が求められます。
顧客の状態に合わせて届ける内容を変えることで、無駄な販促を減らしながら成果を高められます。
優れたDMは見た目が美しいだけではありません。
顧客にどのような行動を取ってほしいのかを明確に設計する必要があります。
QRコードや専用URL、キャンペーンコードなどを活用すればレスポンス計測も可能です。
また、「いつまで」「何を」「どのように」利用するのかをわかりやすく伝えることも重要です。
こちらのコラムでは、DMに二次元コードを掲載し、LPに誘導するパターンについて詳しく説明しています。
DMは一度で完成する施策ではありません。
レスポンス率、購入率、売上、ROIなどを計測し、仮説と結果を比較しながら改善を続ける必要があります。
例えば送付タイミングの違い、オファー内容の違い、封筒とハガキの違いなどを検証することで、より高い成果が期待できます。
継続的にPDCAを回すことで、自社にとって最適なDMモデルが構築されていきます。
効果の出るDM企画立案をするためには、まずは自社の課題を明確に定める必要があります。DM企画立案に役立つ、テンプレートをご用意していますので、こちらもご活用ください。
EC・通販事業においてLTV向上は継続的な成長に欠かせません。
そのためには、初回購入後フォローによるF2転換、休眠顧客の掘り起こし、優良顧客の育成という各フェーズに応じたコミュニケーションを設計する必要があります。
DMは単なる販促媒体ではなく、顧客との関係を深めるコミュニケーションメディアです。デジタル施策と組み合わせながら活用することで、顧客との接点を強化し、LTV向上へつなげられます。
まずは顧客データを分析し、自社の課題がどのフェーズにあるのかを整理したうえで、最適なDMシナリオを設計してみてはいかがでしょうか。
デジタル施策におけるDM活用のポイントをまとめた資料を用意しています。こちらも併せてご覧ください。
「具体的にDM企画を立案したいが、相談できる相手が欲しい」といったお悩みをお持ちのご担当者様は、ぜひお問い合わせください。
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