CRM施策という言葉を検索すると、メール、LINE、DM、アプリ、ポイントプログラム、レコメンド、休眠顧客の掘り起こしなど、さまざまな手法が出てきます。選択肢が多い一方で、「自社では何から始めればよいのか」「どの顧客に、どの施策を優先すべきか」が分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
CRM施策で重要なのは、使えるチャネルやツールから施策を考え始めないことです。まず、顧客データや接点情報、アンケートなどから顧客の状態や自社との関係性を理解し、「どの顧客の、どの行動・意識を、どのように変えたいのか」を定める必要があります。そのうえで、届けるタイミングや内容、オファー、チャネルを設計し、実施後の効果を検証することで、施策は初めてCRM全体の成果につながります。
広い意味でのCRMには、見込み顧客との関係構築も含まれますが、本記事では主に既存顧客の維持・育成を対象とします。初回購入者のF2転換、継続顧客の購入頻度・単価向上、優良顧客の維持、ロイヤルティ向上、離反防止・休眠復活まで、CRM施策の全体像と設計の考え方を整理します。
CRMはCustomer Relationship Managementの略で、顧客との関係を管理し、継続的に良好な関係を築いていく考え方です。CRM施策は、その考え方を実際の顧客コミュニケーションや体験に落とし込むための取り組みといえます。
たとえば、初回購入後のサンクスメール、商品利用を支援するコンテンツ、購入周期に合わせたリマインド、顧客の購買履歴に応じたレコメンド、会員ランク制度、ロイヤル顧客向けの限定体験、休眠顧客への再購入促進などが該当します。
ただし、「メールを送る」「DMを送る」「MAを導入する」こと自体をCRM施策の目的にしてはいけません。メールやDM、LINE、アプリなどは、顧客とのコミュニケーションを実現するための手段です。
同じDMを使う場合でも、初回購入者に2回目購入を促す施策と、長期間購入のない休眠顧客を呼び戻す施策では設計が大きく異なります。対象顧客も、送るタイミングも、伝えるべき内容も、評価すべきKPIも違うからです。
したがって、CRM施策は「どのチャネルを使うか」ではなく、次の要素を一連で考える必要があります。
この順序を意識することで、「メールが使えるからメールを送る」「MAを導入したからシナリオを作る」といった手段起点の施策から脱しやすくなります。
CRM施策は、施策名だけを並べるよりも、「顧客が今どのような状態にあるのか」「その顧客に対して何を実現したいのか」で整理した方が全体像を把握しやすくなります。
代表的な顧客状態と施策を整理すると、次のようになります。
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顧客状態 |
主な目的 |
代表施策 |
主なチャネル |
KPI例 |
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初回購入者 |
F2転換・定着 |
購入後フォロー、使い方支援、次回購入オファー |
メール、LINE、アプリ、DM |
F2転換率、次回購入までの日数 |
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継続顧客 |
購入頻度・客単価向上 |
リマインド、レコメンド、クロスセル・アップセル |
メール、LINE、アプリ、DM、Web |
購入頻度、客単価、継続率、LTV |
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優良顧客 |
高い売上貢献の維持・拡大 |
会員ランク、限定オファー、特別優待 |
メール、アプリ、DM |
購入頻度、客単価、継続率、LTV |
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ロイヤル顧客 |
信頼・愛着の深化、長期継続・推奨 |
限定体験、コミュニティ、紹介施策 |
メール、アプリ、DM、イベント |
推奨意向、継続意向、紹介・口コミ、LTV |
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離反顧客 |
離反防止 |
購買周期に応じたリマインド、失効前通知、個別フォロー |
メール、LINE、DM |
離反率、継続率、再購入率 |
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休眠顧客 |
再活性化 |
掘り起こし、再購入オファー、商品・サービスの再認知 |
メール、DM |
復活率、復活後継続率、復活後 |
ここで注意したいのが、「優良顧客」と「ロイヤル顧客」を同じ意味で扱わないことです。
フュージョンでは、優良顧客を「商品やサービスを継続的に購入し、売上貢献が高い顧客」、ロイヤル顧客を「売上貢献が高いことに加えて、企業やブランドに信頼を寄せている顧客」と分けて捉えています。
たとえば、購入頻度や購入金額が高い顧客であっても、「価格が安いから」「他社に乗り換えるのが面倒だから」といった理由で購入を続けている可能性があります。この場合、経済的な貢献度は高くても、ブランドへの信頼や愛着が十分に形成されているとは限りません。競合から魅力的な条件が提示されれば離反する可能性もあります。
そのため、顧客との関係性を捉える際には、売上や購買頻度といった経済面だけでなく、ブランドへの信頼・愛着といった心理ロイヤルティ、推奨・口コミ・イベント参加などの行動ロイヤルティも見る必要があります。
ロイヤル顧客と優良顧客の違いや育成方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
CRM施策の成果を高めるには、思いついた施策を実行するのではなく、設計の順番をそろえることが重要です。
最初に決めるのはチャネルではなく、「何を変えたいのか」です。
初回購入者を2回目購入につなげたいのか、継続顧客の購入頻度を上げたいのか、優良顧客の離反を防ぎたいのか、顧客ロイヤルティを高めたいのかによって、必要な施策は変わります。
また、目的とKPIはセットで考えます。F2転換が目的ならF2転換率、休眠復活なら復活率、購入頻度向上なら一定期間内の購入回数や購入間隔など、変えたい状態に直接つながる指標を設定します。
次に、顧客が現在どのような状態にあり、何に価値を感じ、どこに不満を感じているのかを理解します。
購買履歴は重要なデータですが、それだけでは十分とは限りません。Webサイトやアプリ上の行動、メールやキャンペーンへの反応、問い合わせ履歴、店舗などでの接点、アンケート、満足度、NPSや推奨意向など、複数の情報を組み合わせることで顧客像の解像度を高められます。
特に優良顧客やロイヤル顧客を考える場合、「いくら買ったか」だけを見るのは危険です。購買額が高くてもブランドへの愛着が低い顧客もいれば、現時点での購買額は突出していなくても、ブランドへの信頼が強く、今後の継続や推奨が期待できる顧客もいます。行動・経済面と心理面の両方を確認することが重要です。
顧客理解を購買データだけで完結させない例として、化粧品ブランドRMK、SUQQU、athletiaを展開する株式会社エキップの事例があります。
フュージョンでは、同社に対して顧客データ分析やMAシナリオ設計だけでなく、NPSアンケートの設計・実施、CX改善テーマの提案なども支援しています。
同社では実店舗と直販ECの顧客IDを統合し、CDPを活用して顧客データを一元化。そのうえで、同じターゲットに対してLINE、メール、Webサイト、EC配送時の同梱物、広告など複数の接点で一貫したコミュニケーションを行える環境を整えています。
また、NPSアンケートによる顧客の声と購買行動などの定量データを組み合わせることで、「いつ」「誰に」「どんな情報を届けるべきか」を改めて検討し、プロモーションや接客などのCX改善へとつなげています。
CRMでは、「何を買ったか」という行動データだけでなく、「なぜ購入しているのか」「何に価値を感じているのか」を理解することで、施策設計の精度を高めることができます。
顧客理解を踏まえて、施策対象を具体化します。
「既存顧客全員」のような大きな括りではなく、購買回数、最終購入日、購入商品、購入金額、会員ランク、Web行動、キャンペーン反応、ロイヤルティ指標などを使って対象条件を定義します。
たとえば、「初回購入から30日以内で2回目購入がない顧客」「平均的な購買周期を過ぎても来店していない顧客」「高頻度購入者のうち推奨意向が高い顧客」など、目的に合わせて対象を切り分けます。
同じ内容でも、届くタイミングによって顧客の受け取り方は変わります。
購入直後ならお礼や使い方支援、商品の消費時期が近づいたら補充の提案、ポイント失効前なら利用促進、購買周期を超えたら離反防止のコミュニケーションなど、顧客の状況に合うタイミングを考えます。
企業側の「毎月1日に配信する」といった運用都合だけではなく、顧客側の文脈を起点に設計することが重要です。
対象とタイミングが決まったら、「顧客にどのような価値を届けるか」を考えます。
価格訴求やクーポンだけがオファーではありません。商品の使い方を分かりやすく伝える、購入した商品と相性のよい商品を提案する、ブランドの考え方を伝える、会員限定の体験を用意する、顧客の声を商品開発に反映するなど、顧客との関係を深める方法は複数あります。
目先の購入だけでなく、「なぜ次もこのブランドを選ぶのか」という理由をつくることが、中長期的なCRMでは重要になります。
最後に、メール、LINE、アプリ、Web、紙DMなどからチャネルを選びます。
チャネルによって、到達しやすさ、即時性、伝えられる情報量、表現の自由度、特別感、運用コスト、効果測定のしやすさが異なります。そのため、対象顧客と目的、タイミング、伝えたい内容が定まった後に、それを最も実現しやすいチャネルを選ぶのが基本です。
ここからは、顧客状態ごとに、どのようなCRM施策が考えられるのかを見ていきます。
新規顧客を獲得しても、初回購入だけで関係が終わればLTVは伸びません。特に継続購入が期待できる商品・サービスでは、初回購入から2回目購入へつなぐF2転換が、その後の顧客育成の入口になります。
重要なのは、購入直後から次回購入までを一つの顧客体験として設計することです。購入へのお礼だけでなく、商品の正しい使い方、利用時に生じやすい疑問へのフォロー、商品価値を実感するための情報、次回購入が必要になるタイミングでのリマインドなどを組み合わせます。
一方で、購入直後から割引クーポンだけを送り続けると、価格が購入理由になり、通常価格での継続につながりにくくなる場合があります。「次も買ってもらう」だけでなく、初回体験の満足度を高め、商品の価値を理解してもらう視点が必要です。
F2転換の考え方や、初回購入後の具体的なコミュニケーション設計については、以下の記事で詳しく解説しています。
2回目以降の購入につながった顧客には、関係を継続しながら購入頻度や客単価を高める施策を検討します。
たとえば、消費・買い替え周期に合わせたリマインド、過去に購入した商品を踏まえたレコメンド、関連商品のクロスセル、上位商品へのアップセル、利用シーンを広げるコンテンツ配信などです。
ただし、購入頻度を上げたいからといって接触頻度を増やせばよいわけではありません。必要以上のコミュニケーションは顧客にとってノイズになります。顧客ごとの購買周期や反応状況を確認し、必要なタイミングで意味のある情報を届けることが重要です。
購入金額や購入頻度が高く、事業への売上貢献が大きい優良顧客には、その高い経済価値を維持・拡大する施策が必要です。
会員ランクに応じた便益、限定商品・先行販売の案内、特別優待、関連商品の提案など、これまでの利用に対するメリットを感じてもらえる施策が考えられます。
一方で、「よく買っているからロイヤル顧客」と決めつけないことも重要です。立地や価格、契約上の制約など、ブランドへの愛着とは別の理由で購入を続けている可能性があります。優良顧客を維持するだけでなく、なぜ購入を続けているのかを理解し、心理的な関係性まで見ていく必要があります。
ロイヤル顧客では、購買実績だけでなく企業・ブランドに対する信頼や愛着を含めて関係性を捉えます。
顧客ロイヤルティを見る際には、売上や購入頻度などの経済面、ブランドへの信頼・愛着や継続意向などの心理面、推奨・口コミ・紹介・イベント参加などの行動面を組み合わせて考えることが重要です。
施策も、単純な割引だけではありません。限定イベントへの招待、新商品の先行体験、顧客との共創企画、コミュニティ、アンケートやインタビュー、紹介プログラム、顧客の嗜好に合わせた情報提供など、ブランドとの関係に参加してもらう仕組みが考えられます。
重要なのは、すべての優良顧客に同じ施策を行うのではなく、心理ロイヤルティや行動ロイヤルティも確認しながら、関係をさらに深められる顧客を見極めることです。
また、ロイヤル顧客の育成では、購買実績だけでなく、顧客が企業やブランドに対してどのような感情や意識を持っているのかを捉え、それに応じたコミュニケーションを設計する必要があります。
心理・行動・経済の各側面から顧客ロイヤルティを捉え、ロイヤル顧客の育成や維持にどうつなげるかをより詳しく知りたい方は、以下の資料もぜひご覧ください。
離反防止や休眠復活では、まず「どの状態を離反・休眠とするか」を自社の購買周期に合わせて定義する必要があります。
たとえば、月に1回購入する商品と、年に1回購入する商品では、同じ「3か月購入がない顧客」でも意味が異なります。一律の期間で休眠を定義すると、本来まだ購入タイミングではない顧客に不要なオファーを送る可能性があります。
また、離反・休眠の理由も顧客によって異なります。商品を使い切れていない、価格が合わない、他社商品へ移行した、サービスへの不満がある、単に購入を忘れているなど、原因によって有効なコミュニケーションは変わります。
過去の購買商品、購入周期、ポイント残高、キャンペーン反応などを確認し、再購入のきっかけをつくるだけでなく、必要に応じて離反理由そのものを解消することが重要です。
CRM施策で利用される代表的なチャネルには、メール、LINE、アプリ、Web、紙DMなどがあります。それぞれに強みと弱みがあるため、「どれが最も優れているか」ではなく、顧客と施策目的に合うかで判断します。
メールは比較的低コストで継続的に運用しやすく、情報量の多いコンテンツや行動に応じた配信に向いています。LINEやアプリのプッシュ通知は即時性が高く、顧客の日常的な接点をつくりやすい一方、配信頻度が高すぎると煩わしさにつながる可能性があります。
Webは情報量や表現の自由度が高く、メールやDMなど他チャネルから誘導した後の受け皿としても重要です。紙DMは送付コストが発生しますが、物理的に手元へ届くこと、保存性があること、クリエイティブや加工によって特別感・体験価値を生み出せることが特徴です。
選定時には、少なくとも「顧客に到達できるか」「顧客の行動タイミングに合うか」「必要な情報量を伝えられるか」「求める体験価値をつくれるか」「コストに見合うか」「効果を測定できるか」を確認します。
また、必ずしも一つのチャネルで完結させる必要はありません。
DMから専用Webページへ誘導する、メールで案内してアプリで利用してもらう、オンラインで反応しない顧客に紙DMを使うなど、チャネル同士の強みを組み合わせることで接点を補完できます。
エキップの事例でも、同一ターゲットにLINE、メール、Webサイト、EC配送時の同梱物、広告など複数接点を組み合わせてコミュニケーションを行っています。重要なのはチャネルごとに施策を分断することではなく、一人の顧客から見たときに、接点をまたいでも一貫した体験になるよう設計することです。
チャネルごとの特徴や目的に応じた選び方、複数チャネルを組み合わせる考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
CRM施策の精度を高めるうえで重要なのが、顧客データを活用したパーソナライズです。
ここでいうパーソナライズは、メールやDMに顧客の名前を差し込むことだけではありません。「誰に送るか」「いつ送るか」「何を提案するか」「どのオファーを出すか」「どのチャネルを使うか」を、顧客の状態や行動に合わせて変えることが本質です。
活用できるデータには、年齢や居住地域などの属性、購入回数、最終購入日、購入金額、購入商品、会員ランク、保有ポイント、Webサイト上の行動、メールやキャンペーンへの反応などがあります。
たとえば、同じ商品を初回購入した顧客でも、購入後に商品説明ページを何度も閲覧している顧客と、関連商品ページを見ている顧客では、次に届けるべき情報が異なる可能性があります。前者には利用方法やFAQ、後者には関連商品の提案が適しているかもしれません。
紙DMでもパーソナライズは可能です。LTVや反応可能性を踏まえて対象顧客を絞り、顧客ごとに掲載商品やメッセージを変える可変印刷を活用したり、ユニークな二次元コードからWebへ誘導したりすることで、オフラインとオンラインを連携できます。
アシックスジャパン株式会社では、会員未登録の店舗顧客に対して、ECサイト上の会員登録を促すDM施策を実施しました。
特徴は、顧客ごとにパーソナライズした二次元コードをDMに掲載し、その後のWeb行動までトラッキングした点です。さらにECサイト上ではポップアップオファーを表示し、紙からWebへの移動後もコミュニケーションが続くように設計しました。
このように、紙DMを単なる販促物としてではなく、「誰に送ったか」というCRMデータと、「誰がWebへアクセスし、その後どう行動したか」というデジタルデータをつなぐ接点として設計することもできます。
CRMにおけるオンラインとオフラインの統合は、「同じキャンペーンをメールとDMで告知する」といった単純なチャネル併用にとどまりません。接点をまたいで顧客行動を把握し、そのデータを次のコミュニケーションに戻すところまで設計することが重要です。
ただし、パーソナライズは細かく分ければ分けるほどよいわけではありません。セグメントを細分化しすぎると、制作・運用コストが増え、十分な検証母数を確保できないこともあります。施策の目的と期待インパクトに対して、どこまで個別化する価値があるのかを判断することが必要です。
顧客データを活用したパーソナライズDMの考え方や、具体的な設計方法については、以下の記事でも詳しく紹介しています。
CRM施策には多くの選択肢がありますが、すべてを同時に実行する必要はありません。むしろ、施策数を増やすことよりも、顧客育成のどこに大きなボトルネックがあるのかを見極めることが重要です。
たとえば、新規顧客の獲得数は十分に多いにもかかわらず、初回購入者の大半が2回目購入に至っていないのであれば、優良顧客向けの新しい特典を増やす前にF2転換の改善を優先する方が、事業インパクトが大きい可能性があります。
まず、顧客数、転換率、継続率、購入頻度、客単価、離反率などを顧客フェーズごとに確認し、どこで顧客が減っているのか、どの部分を改善したときに売上・LTVへの影響が大きいのかを分析します。
施策候補が複数ある場合は、「顧客課題の大きさ」「LTV・事業インパクト」「実行可能性」の3軸で比較すると優先順位を整理しやすくなります。
顧客課題の大きさでは、その課題を持つ顧客がどの程度いるのか、体験上どれほど深刻なのかを確認します。事業インパクトでは、改善した場合に継続率や売上、LTVがどの程度変わる可能性があるのかを考えます。実行可能性では、利用できるデータやチャネル、システム連携、制作体制、運用工数、予算などを確認します。
ここで陥りやすいのが、「実行しやすい施策」を「優先度が高い施策」と混同することです。
メールはすぐ送れるからメールを送る。クーポンなら企画しやすいからクーポンを配る。昨年も実施したから今年も同じDMを送る。このような判断を続けると、CRM施策が顧客課題ではなく、社内の運用都合で決まるようになります。
分析結果を施策の優先順位に変えるには、まず「何を改善すると最も大きな変化が起きるか」を確認し、その後に実行手段を考える必要があります。
施策実施後の評価指標も事前に決めておきます。
メールの開封率やクリック率、DMのレスポンス率などは施策の状態を把握するために重要ですが、それだけで成功を判断すると、本来の目的を見失うことがあります。
F2転換施策ならF2転換率、離反防止なら継続率や離反率、休眠復活なら復活率や復活後の売上など、最終的には施策目的に対応した事業KPIまで確認しましょう。
ロイヤルティ向上を目的とする場合は、さらに注意が必要です。売上やLTVが伸びたからといって、心理ロイヤルティまで高まったとは限りません。NPSや推奨意向、継続意向、満足度、ブランドへの信頼・愛着などの心理指標と、紹介、口コミ、イベント参加などの行動指標を組み合わせることで、関係性の変化を多面的に捉えられます。
施策を実行する前には、対象者、比較対象、評価期間、判定するKPIを決めておきます。そして結果を見て、「対象顧客は適切だったか」「タイミングは合っていたか」「内容は顧客の課題に対応していたか」「チャネルは適切だったか」を振り返り、次の施策へ反映します。
CRM施策は一度設計して終わりではありません。顧客の反応を学習しながら、企画・実行・検証・改善を繰り返すことで精度を高めていく取り組みです。
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CRM施策で成果を出すために重要なのは、メール、LINE、DMなど「何を使うか」から考え始めないことです。
顧客データや接点情報、アンケートなどから顧客の状態・関係性を理解し、「どの顧客の、どの行動・意識を変えたいのか」を明確にしたうえで、対象、タイミング、内容・オファー、チャネル、KPIを一貫して設計する必要があります。
また、顧客育成を考える際には、初回購入者、継続顧客、優良顧客、離反予兆・休眠顧客といった購買状態だけでなく、心理・行動・経済ロイヤルティから顧客との関係性を見ることも重要です。特に、購買実績の高い優良顧客と、企業・ブランドへの信頼や愛着を持つロイヤル顧客を同一視しないことが、長期的なCRM設計につながります。
施策候補が多く、何から始めるべきか迷う場合は、まず顧客育成プロセス上のボトルネックを把握してください。そのうえで、顧客課題の大きさ、LTV・事業インパクト、実行可能性から優先順位をつけることで、「できる施策」ではなく「今やるべき施策」を選びやすくなります。
そして、CRM施策は実施して終わりではありません。施策の反応を計測し、「誰に効いたのか」「なぜ効いたのか」「次は何を変えるのか」を考え、その結果を次の顧客理解と施策設計へ戻すことが重要です。
フュージョンでは、CRM戦略の設計から顧客分析、コミュニケーション設計、オンライン・オフラインのチャネル設計、クリエイティブ、施策実行、効果検証まで一気通貫で支援しています。
「データはあるものの、次に何をすべきか決められない」「複数のCRM施策を実施しているが、全体としてつながっていない」「自社の顧客にとって、どの施策を優先すべきか整理したい」といった課題がある場合は、ぜひご相談ください。