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CRMとは?マーケティングとの違いの有無や、改善に使えるポイント|フュージョン株式会社

作成者: Admin|Dec 12, 2022 1:44:11 AM

昨今のCX(顧客体験)の定着や、顧客データ統合の環境が整ったことにより、見込み客を含む顧客ひとりひとりのニーズや購買履歴に合わせたコミュニケーション(One to Oneマーケティング)の必要性が高まってきました。フュージョン株式会社はCRM領域を得意とするマーケティング会社ですが、当社でもコンサルティングを含めたCRM支援に関する多くのご相談をいただいています。

今回のコラムでは、そもそものCRMの定義やゴールと役割、マーケティングとの違いの有無を解説するとともに、CRM領域での課題解決の流れをご紹介します。

CRMとは?ゴールと役割、取り組む重要性

CRMとは「Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」の略称で、顧客関係マネジメントのことを指します。
具体的には、一度でも自社の商品やサービスを購入・利用してくれた顧客との関係性の維持や顧客満足の向上を測ることによって、売上拡大や利益向上を目指すための経営戦略および必要な手段や手法全般を言います。
マーケティングの最終的な目的は売上を上げることですが、CRMに取り組むうえでは、売上の構成要素を「客数」と「客単価」に分解し、さらに「客単価」を「来店回数」×「1回当たり購入点数」×「1点当たり単価」へと分解します。
そして、これらの要素のどこに課題があるかを抽出・設定し、目標とするべきKPIをしっかり決めて取り組むことが大切です。

【参考コラム】
売上を上げる6つの方法とマーケティング課題の設定・解決策検討プロセス
目標達成の道しるべ「KPI」を設定しよう
CRM事例で見るデータ分析・活用の本質的な課題設定と解決策

CRMを戦略から施策実行まで適切に行うことで、ロイヤルティの向上やLTVの最大化が実現可能です。
特に現在は、国内市場の縮小や顧客のニーズの多様化によって、新規顧客の獲得難易度は高まっています。このような状況では、自社と接点を持った顧客との最適なコミュニケーション設計や、良質な顧客体験の提供が売上拡大や利益の向上を左右するため、CRMの重要性が高まっています。


CRMとマーケティングとの違い

次に、CRMとマーケティングの違いですが、CRMはマーケティングの中でも特に顧客との関係性に着目した場合の経営戦略や手段・手法であり、マーケティング戦略を検討し施策を実行するための前提になるものです。
「自社はどのような顧客と、どのような関係性を構築・維持していきたいのか?」をまず経営視点で明確にすることで、おのずと自社商品・サービスのマーケティング戦略も見えてきます。
そしてCRMツールは、そのために必要な顧客データを管理し、個々の顧客に応じた施策を行うために使う手段です。

CRMを自社でおこなう場合は、単にCRMツールを入れるだけでは足りず、最上位概念にあたる経営戦略や、そのあとに続くマーケティング戦略とセットで考える必要があります。CRMとマーケティングは違うものというわけではなく、顧客との関係性構築を軸に置いたときに、どのような構造になるかを理解することが重要です。

 

CRM領域でのマーケティング課題解決の流れ

それでは、CRM領域におけるマーケティング課題はどのような流れで解決していくと良いのでしょうか。
ここでは当社のCRM支援全体像を踏まえ、一般的なフローをご紹介します。 


STEP1】現状把握

まずは、CRM戦略の有無や、準ずる戦略・計画などがあるかどうか、ある場合はどのような内容になっているか、現状を細かく把握し整理します。
フュージョンでご支援する場合は、当社独自のCRM診断フレームワークに基づいてCRM戦略の棚卸しを行いますが、整理するときの軸としては、主に3つ用意しています。

<CRM戦略棚卸しの軸>

  1. CRM戦略の有無や内容
  2. CRM実行計画内容や施策設計
  3. CRM実務レベルでの施策ひとつひとつの状況

自社でのCRM見直しを行おうとした場合でも、これらの軸に応じたドキュメントの有無や内容を確認するとともに、関係者へのヒアリングを通じて、現状のCRM戦略や実行計画、実施状況を可視化することが第一歩になります。 

現状の可視化には、マーケティング業務設計もおすすめです。マーケティングにおける業務設計とは、マーケティング領域の業務の流れを可視化した上で、あるべき姿とのギャップを洗い出すことで本質的な課題を発見し、改善を図り業務全体を最適化するものです。詳しくは下記コラムをご覧ください。

【参考コラム】
全体最適のためのマーケティング業務設計とは?効果と進め方を解説

 

STEP2】戦略策定

CRM戦略を無事棚卸しできたあとは、改めてCRM戦略を策定しますが、最適な実行施策にまで落としていくために、マーケティング課題やToDoも把握し施策に盛り込む必要があります。
具体的には、顧客データを用いた基礎分析を行い、現状の顧客動向を可視化します。顧客属性、時間軸、場所、商品、受注チャネルなどのサービス軸を整理し、「変化」と「違い」を把握しましょう。

自社の顧客像を可視化できたら、カスタマージャーニーマップを作成し、顧客とサービス・商品との接点、およびそこでの体験・感情を時系列に並べ、それをもとにマーケティング施策計画とその効果を測定するKPIを設定します。マーケティング施策計画はスポットではなく年間で、長い時間軸を意識して設計しましょう。

【参考コラム】
年間マーケティング計画の目的は?ありがちな課題や見直し時のチェックポイントを解説

STEP3】具体的アクション

マーケティング施策計画ができたら、次は個別の施策を実行していきます。
施策を実行する際は、やりっぱなしにするのではなく、STEP2で設定したKPIに基づき効果検証→改善を繰り返しましょう。
1人のお客様が顧客が一生の間にもたらしてくれる価値を「顧客生涯価値(Life Time Value=LTV)」と言います。施策の効果は、施策単独での実施結果だけでなく、顧客のLTVを継続的に見ながら企業のCRM戦略全体の成果も常に意識して取り組む必要があります。

【参考コラム】
【簡易計算シート付】LTVとは?重視される背景やCRMとの関係、計算方法を解説

CRMの取り組みを成功させる3つのポイント

CRMを自社に取り入れる場合は、単にシステムツールを導入するだけでは足りません。ここからは、CRMの取り組みを成功させるためのポイントを3つご紹介します。

CRMは手段ではなく戦略と捉え定期的な棚卸を行う

CRMは単なる顧客とのコミュニケーション手段ではありませんし、ツールを導入すれば良いというものでもありません。CRMとは、ブランドと顧客の関係維持や顧客満足の向上により、売上や利益の拡大を目的とする顧客志向の経営戦略です。そのため、外部環境や内部環境の変化に伴い、CRM戦略は定期的に棚卸をする必要があります。

戦略とは組織が進むべき方向や方法で、戦術とは戦略を達成するために行う具体的な方法を指します。
新規顧客の獲得が難しい場合は、既存顧客に商品を売ればよいなどと考えていませんか?CRMを始めても、単なる商品を売るための仕組みと考えている場合は、うまくいかないケースが多々あります。CRMにおいては、企業視点から顧客に商品を買っていただく方法ではなく、顧客視点からのアプローチを持つことが必要です。

そのためには、顧客との総合的な対話の場としてのコミュニケーション戦略、メディア戦略、チャネル戦略、これらを支えるIT戦略、といったさまざまな戦略の上で取り入れることが重要です。
フュージョンでは、運用中のCRMプログラムの現状を把握し、課題を発見するためのExcel形式セルフチェックシートを公開しています。ぜひご活用ください。



顧客を中心に取り組んでいるか確認すること

CRMを企業から売る仕組みと捉えてしまうと「企業が売りたい商品を売りやすい人に対して売りたいタイミングで売る」ことになります。顧客の視点で言いかえれば「欲しくもない商品を欲しくもないタイミングで売りつけられている」ともいえるでしょう。
つまり、顧客の持つ「なぜ私に?」「なぜ今?」といった感情に対して、次のような点で当てはまっているかが重要です。

  • 「なぜ私に?」「なぜ今?」の問いに対しての的確な答えを用意できているか
  • 用意できた答えを顧客にきちんと伝えているか
  • 顧客は用意した答えを理解でき、納得できているか

これら3つの要素を満たすことで、初めて顧客は商品の購入を検討します。

商品を検討しているとき、顧客は金銭的な部分だけではなく、快適さや利便さ、さらには優越感をもたらしてもらえるのかによって、購入するかどうかを決めます。単に「今なら安い」「今ならお得」などの企業視点だけでは、取り巻く環境がそれぞれ異なるため、なかなか動きません。そのため、改めて下記に示すようなCRMの基本に立ち戻り、顧客と対話することが大切です。

何のために(Why ) 顧客との関係をどのようにしていくのか。
顧客の未来にどのような変化を求めるのか。
どのような顧客に購入、またはサービスを受けてもらいたいのか。
どうやって(How ) 定めたビジョン、方向性に対しての手段は妥当か。
何をするか(what ) 手段を実現させるために具体的にどのようなやり方をするか。
やり方や費用は適切なのか。
どのような結果になったのか。

顧客の動きを注意深く分析しながら変化に対応し、その時その時に必要なものを見定めてCRMプログラムに反映させることが大切です。

CRMの実施は継続的に行う

新規顧客の獲得が難しくても、顧客リストを活用することで既存顧客にアプローチして売上の確保をしようと考える企業は増えています。ここで、CRMの具体施策に取り組む場合は、ロイヤルティプログラムなどを含めた継続的なプログラムを前提に設計・運用するため、一度始めるとなかなか中断できないことを考慮する必要があります。

短期的に売上を確保する目標を立てたとしても、中長期的に顧客との関係性をどのようにしたいのかを考えていなければ、単なる値引きや安売りとなってしまいます。

CRMは、企業の付加価値を顧客に対して直接提供し、自社の商品に愛着や信頼を持ってもらい、常に選んでもらいやすくすることが最終的な目標です。言い換えれば、CRMはロイヤルティを向上させることが目的であることから、長期で継続して行うものです。

CRM戦略・施策の改善はフュージョン株式会社へご相談ください

昨今のテクノロジーの進化の流れは凄まじく、多くの行動ログがデータ化されマーケティングに活用されていますが、データだけでロジックを組み立てても人の心は動かせません。人の心は最終的には人の心で動くものです。
わたしたちは「マーケティングに、体温を。」のマインドで、データにできない「想い」や「現場感」に寄り添い、クライアント企業のマーケティングパートナーとして伴走支援しています。
マーケティング課題が顕在化していなくても、「なんとなく課題感を感じている」「なにをしていいかわからない」「社内に相談する人がいない」といったところから、ぜひお気軽にご相談ください。