「分析帳票の作成を自動化したい。」
「BIツールのダッシュボードを改善したい。」
「アプリのデータ分析で困っている。」
このようなお話は、CRM戦略支援の中で、日々のマーケティング活動で必要なデータ分析やデータ活用に関して、クライアントから最初のご相談としてよく挙がるものです。
フュージョンではこういったデータ分析やデータ活用に関するご相談に対して、
「では、システムの要件定義をしましょう。」
「では、BIツールの仕様から再定義しましょう。」
「では、アプリログデータをお預かりします。」
といった回答をすぐに行うことはせず、お客さまとのディスカッションの場を設け、課題に対する認識のすり合わせを行います。
なぜなら、こういったご相談では目的である実現したいことに対して、”課題設定”がずれていることがよくあるためです。このような場合、ヒアリングを重ね課題を突き詰めると、本質的な課題は別にあることがほとんどです。
今回のコラムでは、実際にご相談を受けた3つのデータ分析事例を通して、クライアントが認識していた課題を掘り下げた結果わかった本質的な課題と、実際にご提供した課題解決策をご紹介します。
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データの可視化だけではなくHR領域の仕組み確立が課題の事例
ひとつめは、教育業界のクライアントから「分析帳票の作成を自動化したい。」とのご相談を受けた事例です。
さっそく話を詳しく伺ってみると、以下のようなことがわかってきました。
- データはある程度貯まっているものの、思うように可視化が出来ていない
- データを使って生産性を可視化し、向上させたい
- 自社はもとより、ゆくゆくは業界全体の働き方改革と給与向上につなげ、働く人を幸せにしたい
ヒアリング内容から、クライアントの目的と本質的な課題・解決策を以下のように整理しました。
(目的)
「帳票出力の自動化」ではなく、クライアント自身はもとより業界全体の働き方改革を行うこと
(本質的な課題)
帳票の自動化や生産性の可視化だけでなく、評価や人材の育成・採用・配置、マネジメントも含めた仕組みや体制が不十分であること
(解決策)
「事業発展に備えられる”仕組み”としてのデータ活用基盤構築と、それを維持する”体制”作り」
その第一歩として、仕組みとしてのBIツール導入と、体制作りとしての教育をご提案し、これをきっかけに一緒に取り組みをはじめさせていただき、すでに1年以上が経ちました。
最近、1年前にはエクセルを触ったことのなかった職員の方からこんな言葉をいただきました。
「〇〇の検証をするためには、こんなデータも集められると良いですね。」
「半年前と今回のアンケートの結果の比較から、こんなことまでわかるんですね。」
クライアントのデータ活用の文化が着実に育っていると実感した瞬間でした。
BIダッシュボードの改修よりもKPIマネジメントが課題の事例
ふたつめは化粧品業界のクライアント事例です。「BIツールのダッシュボードを改善したい。」とのご相談を頂きましたが、このクライアントではすでにBIツールを導入しており、自社でダッシュボードの開発も行っていました。
そういった背景もふまえつつ、ヒアリングを進めてみると以下のようなことがわかってきました。
- コロナの影響を受け、ブランド施策の方向性が変わり見るべきKPIが変化している
- そのため各種施策のインプレッション、CTR、CV、ROIなどのKPI指標をモニタリングし、最適化に取り組んでいる
- しかしKPIを確認する会議において、話題が拡散してしまい議論が収束しなくなっている
(例えば、何かKPIが悪化すると「CRMが悪いのか?」「ブランディングが悪いのか?」と、議論が堂々巡りになっている)
ヒアリング内容から、クライアントの目的・本質的な課題・解決策を以下のように整理しました。
(目的)
マーケティング業務におけるKPI指標のモニタリングと最適化
(本質的な課題)
現行のダッシュボードだけでなく、KPIの運用を行う”体制”そのものにあること
①各KPIにどの部署が責任をもつのかが曖昧になっていること
②その状況で、全員参加型で対策会議を行っていること
ダッシュボードの再設計と構築は、各部署の責任範囲と会議体が定めて行う
(解決策)
「「KPIに責任を持つ部署」と「会議体」の再整理と見直し、およびそれらに基づくダッシュボードの再設計と構築」
このご提案を行った際には、「もやもやの原因はここにあったのか。」とおっしゃっていただき、
実際にこのクライアントでは、部署ごとの責任範囲と会議体の再整理を実施しました。
現在は各会議体に合わせたダッシュボードの構築に、順次取り組んでいます。
アプリデータ分析ではなく顧客セグメントとKPI定義が課題の事例
最後にご紹介するのは、コロナが猛威を振るっていた2021年、業績が伸び悩んでいた小売業界のクライアント事例です。「アプリのデータ分析で困っている。」とのご相談を頂きました。
リモート会議でのヒアリングを重ねていく中で、以下のようなことがわかってきました。
- アプリのデータ分析で、施策の効果測定を行いたい
- 現在、既存顧客育成に注力しており最適な施策設計を見つけたい
- ただ、これまで顧客育成に取り組みきれておらず方向性が定まりきっていない
ここまで伺ったうえで、ヒアリング内容から、クライアントの目的・本質的な課題・解決策を以下のように整理しました。
(目的)
優良顧客向けマーケティング指標の定量化
(本質的な課題)
①優良顧客の言語化と、それを定量的に表現するセグメント基準が決まっていないこと
②顧客の優良化フェーズ(セグメント)ごとの、KPIツリーが構築されていないこと
③KPIと施策の関係性を検証していく、PDCAサイクルが回せていないこと
なお、この事例では、アプリも含めた各種データ分析は、顧客定義、KPI定義、KPIと施策の関係性検証で適宜実施することになりました。
(解決策)
「データマーケティングを行うための地図として「顧客定義」と「KPIツリー」、2つの”仕組み”の構築」
ご提案では、クライアントから「そうそう、これがやりたかったんだ。」とのお言葉をいただき、
現在では施策とKPIの関係性の解明に向けて、テストとその検証に取り掛かっています。
事例の詳細は下記のリンクからご覧ください。
店舗アプリデータ分析に基づくKPIマネジメントの仕組み化(小売業界様)
データ分析の前に本質的な課題設定を
ここまで、顕在化していたデータ分析やデータ活用のご相談の背景には、実は別の本質的な課題が隠れていた事例を3つご紹介してきました。
またいずれの事例でも、ご提案させていただいた課題と対策は「仕組み」や「体制」作りでした。
データ分析はあくまで手段のはずです。でも、「わかっている」と思っているときほど意外と課題の掘り下げができていないことがあります。
とくに、事業が拡大していく段階や、関わる関係者が多くなっていると、役割分担の背景や全体が見えなくなってしまい、一人一人は正しいと思っている行動が実は全体で見るとおかしくなっていたり、表層的な課題がひとり歩きしてしまったりします。
データを活用したマーケティングや体制作りを行っていく際には、今一度、
関係者が全体最適で課題を捉えられているか?を確認することが重要です。
フュージョンは、データ分析のご支援だけでなく課題設定のサポートから仕組みと体制作りを、貴社のマーケティングパートナーとして併走します。
マーケティング課題が課題が顕在化していなくても、「なんとなく課題感を感じている」「なにをしていいかわからない」「社内に相談する人がいない」といったところから、ぜひお気軽にお話を聞かせてください。
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