3.顧客の行動に変化を与えること
ワンダーマンは、見込み客や個々の顧客を理解した上で、商品やサービスの認知だけではなく、顧客の行動そのものに変化を起こす広告こそ重要であると述べています。そして、広告自身が利益を生み出す必要があるとしています。
Advertising Must Change Behavior, Not Just Attitudes
The Next Step: Profitable Advertising
ダイレクトマーケティングにおける広告は、顧客のアクションを促すことにこそ意味があります。ダイレクトマーケティングの代表的な手法であるダイレクトメール(DM)は、顧客からの直接的な反応を得られるプロモーションメディアとしてよく使われます。フュージョンが支援したダイレクトマーケティングの施策実績については、以下で詳しく紹介しています。
4.行動の結果や効果が計測可能であること
前述したルールを踏まえて「広告の効果は計測可能であり、結果の説明ができなければならない」とも、ワンダーマンは主張しています。効果検証ができる広告であれば、再現性をもたせて継続実施が可能です。
The results of advertising are increasingly measurable; they must now become accountable
実施した施策の効果検証が行われなければ、結果に基づく意思決定ができず、マーケティングのPDCAサイクルを回せません。結果に基づく意思決定をするためにも、昔から現在に至るまで変わらず重要とされています。
昔からダイレクトマーケティングで語られていることは、現在のデジタルマーケティングでも通用することがおわかりいただけたでしょうか。
ダイレクトマーケティングは、古いマーケティング手法と思われがちです。しかし、ご紹介した本質を踏まえると、決して色あせない伝統的かつ有用なマーケティング手法だとも言えます。
ダイレクトマーケティングは古い?よくある誤解
ダイレクトマーケティングは、古いマーケティング手法だと考えられる以外にも、さまざまな誤解をもたれています。以下では、よくある代表的な誤解を3つ挙げます。
「ダイレクトマーケティング = 通信販売」という誤解
ダイレクトマーケティングを通信販売だと捉えられるのは、歴史的に見ると、仕方がない部分があります。また考え方が一番当てはまる業界が通信販売であることは、否定できません。
しかし、冒頭でご紹介したレスター・ワンダーマンが再定義したダイレクトマーケティングは、業界ではなくマーケティング手法です。顧客の発掘(アクイジション)から、顧客の育成・定着(リテンション)まで、またその両方に影響を与えるブランディング等、さまざまなマーケティング手法を包含するマーケティングの考え方そのものを指します。そのため、小売・流通業をはじめ、金融業界や航空業界等さまざまな業界で活用されています。
ダイレクトメールだけがダイレクトマーケティングという誤解
最近では「メールマーケティングもデジタル版ダイレクトメールなので、ダイレクトマーケティングだ」という認識をされている方もいますが、よくある誤解です。
メディアに関して言えば、ダイレクトマーケティングはメディアニュートラルのスタンスをとり続けています。メディアニュートラルとは、特定のメディアを軸にメディアプランニングするのではなく、あらゆるメディアを横並びで考え、顧客との接点を最適化する考え方です。
そのため、ダイレクトマーケターは顧客と双方向のコミュニケーションを取るために一番効率的で最適なメディアが何かを常に考えています。
ダイレクトレスポンス広告や検索連動型広告、バナー広告等のデジタル広告、ダイレクトメール等も含めた多種多様なメディアを活用し、双方向のコミュニケーションを実現しクライアントの課題解決につなげるのがダイレクトマーケティングです。
フュージョンでは、顧客コミュニケーション設計書のテンプレート資料を配布しています。ダイレクトマーケティングを実施しても、顧客との接点を最適化できないでお悩みの方はご相談ください。
クーポンや割引券を活用する施策は全てダイレクトマーケティングという誤解
ダイレクトマーケティングでは、クーポンや割引券を使うことはありますが、これはダイレクトマーケティングに限ったことではありません。
利用者を特定しない「1回限り」の関係性しかもたないのであれば、それはクーポンをオファーにしたダイレクトマーケティングとは言えません。ダイレクトマーケティングは、相手を特定できるデータ(古くは住所や名前、メールアドレス)を活用し、継続的に双方向のコミュニケーションを実現するマーケティング手法だからです。
ダイレクトマーケティングの内容を改めて紐解くと、特定のメディアや手法に限らないマーケティングの本質にきわめて近い考え方だということがわかります。
デジタルマーケティングでも使えるダイレクトマーケティングの視点
デジタルマーケティングでは、ダイレクトマーケティングの本質をどのように捉えればよいのでしょうか。4つの視点で、置き換えてみます。
顧客を第一に考える
顧客との継続的な関係を構築するためには、顧客ニーズに答える良質なコミュニケーションが必要です。そのためには、以下の4つのBestを提供する必要があります。
- 一番良いお客さまに(Best Audience)
- 一番良い場所で(Best Place)
- 一番良いタイミングで(Best Timing)
- 一番良い体験を(Best Experience)
もし顧客が悪い体験をしたのであれば、その企業の商品を購入しないどころか、広告に見向きもしてくれません。
たとえば、ECサイトで初回購入を迷っている顧客に対しては、カートに商品を追加してからサイトを離脱するタイミングで、買い忘れがないかポップアップ通知を表示させるのは効果的でしょう。さらに、既存会員との関係性を深めたいのであれば、メールでのコミュニケーションだけではなく、顧客の誕生月や再購入のタイミングでダイレクトメールを活用し、特典を送るのも良質なコミュニケーションと言えるでしょう。
このように、上記4点を踏まえ適切なセグメントに対してツールやコンテンツを変えるなどして、顧客ファーストなコミュニケーションを図りましょう。
一人一人に対応する
ダイレクトマーケティングでも、データの活用は基本です。デジタルマーケティングでは、ダイレクトマーケティング以上にさまざまなプラットフォームを経由し、多様なデータを収集します。その中でも、行動データを可視化し収集することが大切です。
収集したデータを、MAに代表されるマーケティングテクノロジーと組み合わせることにより、顧客ごとにパーソナライズされたコンテンツを、顧客に直接届けることができます。
たとえば、化粧品や消耗品など、再購入のタイミングがある程度予想できる商材の場合は、顧客が再購入をする時期にあわせて、クーポンや関連するおすすめ商品をメールなどで送付するなどのアイデアがあります。
この際に一人一人に対応するための最適化された接点はどこかを考える上では、前述したメディアニュートラルの考え方が重要です。
フュージョンでは、顧客行動データの分析による課題発見を行うレポートサービス「CRM ANALYZER」を提供しています。詳しくは、下記のページをご参照ください。
行動に変化を与える
行動に変化を与えるというのは「顧客の反応を得ること」です。
良い反応を得るためには「顧客を第一で考える」で説明した4つのBestの中でも特にBest Experience、顧客にとって今必要な一番良い体験をしてもらうことが大切です。一番良い体験をしてもらうためには、顧客の行動に変化を促すビッグアイデアとクリエイティブが重要と言えます。
ダイレクトマーケティングでクリエイティブを検討する場合は、さまざまなメディアで耐えうるビックアイデアを検討しなければなりません。また、メディアごとに最適化されたクリエイティブ開発も必要です。上記2つの完成度によって、顧客に提供される体験が変わります。
たとえばデジタルマーケティングの場合は、商品ページ(ランディングページ)を作成することもしばしばありますが、ここでのCTAの設置場所やクリエイティブは顧客からの反応を最適化するために重要な要素です。この際に重要なのは、顧客が商品について十分に理解し、購入を検討しはじめたタイミングを十分に考慮したうえでCTAの設置場所を検討することです。
また、反応を促すクリエイティブは、強いメッセージが逆に行動を促さないケースもあるので、細心の注意を払う必要があります。
結果や効果が計測可能である
ダイレクトマーケティングにおいては、施策のレスポンスを計測し結果や効果を検証します。
デジタルマーケティングにおいても、デジタルテクノロジーを活用したプラットフォームを活用することで、さまざまな接点での計測がダイレクトマーケティング以上に簡単にできます。また、ダイレクトマーケティングではなかなか計測できないアトリビューション分析を用いた効果なども計測可能になりました。
具体的には、テレビCMやダイレクトメールなどのプロモーションを実施した際に、サイト上における商品の検索流入が増加し、ECサイトの売上が向上するケースなどは代表的な例です。
一方で、多くのデータを適切に判断するためには、適切なKGIやKPIの設定と正しい接点での計測が前提にあります。
CRM領域のマーケティング支援はフュージョンにご相談ください
ダイレクトマーケティングとは、企業が顧客と直接コミュニケーションを取り、最終的に購買などの具体的な行動を促すマーケティング手法のことです。
ダイレクトマーケティングは、単なるマーケティング手法ととらえるのではなく、さらに普遍的な、根本の部分を理解したうえで実務に活用できるものです。
フュージョン株式会社では、ダイレクトマーケティングの知見をデジタルマーケティングの分野にも活用し、戦略設計や実行計画の策定、実施、運用をサポートします。
デジタルを活用したプロモーションについても、お気軽にご相談ください。