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ポイントと電子マネーの境目が無くなる日。

佐々木 卓也
2015-02-08

先日クライアントのご担当者と次期ポイントプログラム戦略と設計について
ディスカッションする機会があったのですが、
ポイントカードを導入して売上高に対しての会員売上比率が高まるに連れ、
次の展開を検討する時期に入り、各社共通の課題感が見えてきました。

課題として主に3つが挙げられます。
①自社ポイントカードと自社ECのポイントの統合
 ポイント管理に関わるクラウドサービス提供会社が増え、
 POSレジ会社に任せていたポイント管理システムを、
 レジの入れ替えサイクルと関係無く改善検討出来る様に
 外部サービスに任せようとする企業が増えています。
 特に自社ECの売上高が増加し、店舗とECの相互送客を推進(所謂OtoO)を
 政策に掲げる企業は自社ECのポイントと店舗のポイントを
 共通化する為の動きが活発です。


②電子マネーの導入と電子マネー決済に対するポイント付与
 ①と同時に自社電子マネー導入の為のシステム提供会社も増えています。
 ギフトカード導入、又は自社ポイントカードを電子マネー搭載カードに切り替え、
 電子マネー決済に対してポイントを付与するポイントプログラムに制度変更する
 企業、または電子マネーを新規導入し初めてポイントを始める企業も増えています。
 電子マネーのチャージ行為は、小売業にとってまさしく「消費の先食い」です。
 自社電子マネーにチャージされた金額分は自社店舗で消費される事が
 ほぼ確定していますので、ポイント付与費用も投資として判断されています。

    

③ポンタ、Tカード、楽天ポイント等、他ポイントグループへの参加検討
 ①②を検討していくと、必ず議論に挙がるのが、大手ポイント連合への参加検討です。
 「ポイント経済圏」は毎年経済誌で特集が組まれるほど
 生活者にとっても、小売流通業にとっても無視出来ない大きな経済圏に成長しています。
 送客を目的とし、大手ポイント連合に加盟する事で自社にどれだけのメリットがあるか、
 自社独自のポイントプログラム設計と比較し、影響のシュミレーションが重要になってきます。
 また、この様な大手のポイント経済圏の間には「ポイント交換サービス(ポイントエクスチェンジ)」
 サービス会社も存在しているので、自社ポイントと他社ポイントの連携の容易さ、も
 生活者にとって今後評価の基準として大きくなってくる可能性があります。


上記3つの課題検討を深く議論するうちに、
現状のポイントサービス、電子マネー業界においての
大きな流れが感じられました。


それは「ポイントと電子マネーの境目が無くなっている」という事です。

 
ポイントは大抵の企業で「現金」として交換出来ます。
そしてポイント経済圏の中で「他社ポイントとの交換がさらに容易に」
「大手ポイント連合の寡占化、グループ化が進む」事で
交換後に別な企業で自由に「現金」としてまた使えるということです。
こういった大きな流れから、
ポイントが現金そのものにどんどん近くなっている様に最近特に感じます。


ポイント経済圏は1兆円以上、と言われています。
ポイントの流動化が進む事で、20年以上歴史がある既存のポイントカード、
ポイント施策から次世代の新しいポイントに対しての考え方、戦略が
生まれるかもしれません。


最後まで読んで下さりましてありがとうございました。
『ITmedia マーケター通信』 2015年2月5日より転載)

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