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選択の科学~沢山あると選べない!少ないと選びたくない!この心理を科学する?~

佐々木 卓也
2015-04-29

普段から小売業の方々とお話する機会が多いのですが、
先日、大手流通業がPB(プライベートブランド)について
1月には4割のアイテムの価格据え置き
4月には4割のアイテムを削減
といった記事の話題でディスカッションをしました。

雑誌等の記事では、「安さの常態化」「質の低下」等の話題が大半ですが、
原因としては それだけが全ての原因では無いと個人的に思っています。


マーケティングの世界では、「行動心理」「消費者心理」といった
人間の行動は欲求や瞬間の心理に左右される、と学びますが、
まさに今回の記事はその事項を表現していると思います。


①沢山あると選べない!

選択肢が多い状態だと、人間は機能麻痺を起こし、結果として
どれも選べない、という実験が有名です。
24種類のジャムを棚に置いて選ぶよりも
6種類のジャムを試食で置いた方が数倍売れた。
でも24種類のジャムを置いた方が試食よりも興味を示した。

アテンション(注意喚起)と、アクション(消費行動)は別、
という事例ですが、沢山の選択肢の中から一つだけ選ぶ、
という事が人間は意外と苦手です。



②少ないと選びたくない!
自由に選択しているという意識が、私たちの幸福度を高める、
という事も、行動心理学の中でも立証されています。
日本では「松竹梅」という商売の歴史で証明された黄金律がありますが、
一つのカテゴリに選択肢が少ないと、
①とは逆に「選択する楽しさ」が奪われ不満度が増すのでしょう。



①と②のバランスが絶妙に保たれていると、
選択する行動を通じ、楽しい、嬉しい、満足、といった気持ちに繋がるとすれば、

冒頭の記事については、

PBの割合を増やした事によって、そのバランスが崩れたのではないか、
といった議論になりました。



③では流行りのECでのABテストは今後どこに向かうのか?
ECでのクリエイティブABテストは今トレンドです。
消費者が選択している、というよりは不特定多数に瞬間的に
一つのクリエイティブを受け入れるか否か、を選択させて
確率的に最適化を追求しているテスト手法ですが、


将来的には、行動心理学に基づいた
新しいマーケティングアドテクノロジが
生まれるかもしれません。


普段の歩く道も、お茶をするカフェも、一緒に話す相手も

無意識の中で「選択の連続」の中で人間は生きています。
そんな「無意識の中の意識」を解き明かす事が出来たら、
出来ないとしても想いを馳せてイメージする事が出来るマーケティングの仕事は
だから楽しいのでは無いでしょうか。


最後まで読んで下さりましてありがとうございました。

『ITmedia マーケター通信』 2015年4月28日より転載

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