フュージョン株式会社では、CRM戦略の設計から実行支援、さらには既存のCRM業務の改善まで、多岐にわたるご支援を提供しています。
CRM戦略策定後の施策設計フェーズでは、複数の施策を同時に進行させる必要があり、タスクの遅延や進捗の把握が難しくなるリスクがあります。このような場合、当社ではプロジェクト形式での進行を行うことが多く、当社のCRM支援の中でも、必要に応じてプロジェクトマネジメントも含めた伴走支援を行っています。
今回のコラムでは、CRM施策設計フェーズにおいてプロジェクトマネジメントが必要な理由と、プロジェクトマネジメント担当者がCRMの知見を持つことの重要性について詳しく解説します。CRMについての基本的な内容を知りたい方は、別記事「CRMとは?マーケティングとの関係や戦略~実行における課題解決ステップを解説」もご一読ください。
プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトマネジメントとは、特定の目標を達成するために、計画から実行、および完了までのプロセス全体を管理する方法論です。
プロジェクトマネジメントは、CRM戦略を実行に移す際の基盤として機能します。主に以下の役割を担います。
1. 進捗管理
プロジェクト全体のスケジュールを作成し、各タスクのタイミングを調整することを指します。進捗管理を通じて、プロジェクトが期限内に完了するようにします。
【具体例】
- プロジェクト計画の作成: プロジェクトの開始から終了までのスケジュールを詳細に計画し、各タスクの開始日と終了日を設定します。
- タイムラインの調整: 予期せぬ遅延が発生した場合、スケジュールを再調整してプロジェクト全体の遅延を最小限に抑えます。
2. リソース管理
リソース管理とは、プロジェクトに必要なリソース(人員、予算、ツールなど)を適切に割り当て、効果的に利用することです。
【具体例】
- リソースの割り当て: プロジェクトに必要な人員や予算を計画し、各タスクに必要なリソースを割り当てます。
- リソースの最適化: リソースが不足している場合は、他のプロジェクトからの借用や追加予算の手配を行います。
3. タスク管理
タスク管理とは、プロジェクトの各タスクを明確にし、その進捗状況を管理することです。タスク管理を通じて、プロジェクトが計画通りに進行するように監督します。
【具体例】
- タスクのリスト化: すべての必要な作業をリストアップし、それぞれのタスクに対して担当者と締め切りを設定します。
- 進捗の追跡: 定期的なミーティングやプロジェクト管理ツールを使って、各タスクの進捗状況を確認し、遅延がないかをチェックします。
4. コミュニケーション管理
プロジェクトに関与するすべての関係者とのコミュニケーションを円滑に行うことです。効果的なコミュニケーションを通じて、情報の共有と意思疎通を可能にします。
【具体例】
- 定期ミーティングの開催: プロジェクトチーム全体で定期的なミーティングを行い、進捗状況や問題点を共有します。
- 報告書の作成: プロジェクトの現ステータスをまとめた報告書を作成し、上層部や関係者に報告します。
5. リスク管理
リスク管理は、プロジェクトに潜むリスクを特定し、そのリスクを最小限に抑えるための対策を講じることです。
【具体例】
- リスクの特定: プロジェクト開始前にリスクを洗い出し、それぞれのリスクの影響度と発生確率を評価します。
- リスク対応計画の策定: リスクが発生した場合の対処方法を計画し、リスクが現実化した場合には迅速に対応します。
このように、プロジェクトマネジメントはCRM戦略に基づいて施策設計を行ううえで欠かせない役割を担っています。適切なプロジェクトマネジメントにより、タスクの遅延を防ぎ、進捗を可視化し、リソースを最適に配分することができます。これらにより、CRM施策設計を計画的かつ組織的に行うことができ、顧客との関係構築強化ができるようになります。
CRM でのプロジェクトマネジメントの重要性
CRMの施策設計フェーズにおいては、多岐にわたる業務が並行して進行します。
たとえば、分析や顧客コミュニケーション、プラットフォーム開発・運用、マーケティングオペレーション(MA)などです。通販のような業態だと、さらにフルフィルメントやデリバリー、決済なども加わります。これらの施策設計や実業務が並行して進行するため、優先順位の変更が課題解決の順番に影響を与え、タスク管理が複雑化しやすくなります。
さらに、各業務の設計と品質管理は専門部門が行い、納期管理とコスト管理は専門部門とアカウントマネジメント部門が共同で行うことが多いため、部門間の調整が必要です。また、プロジェクトによっては社内だけでなく複数のパートナー企業と協力して施策設計を行うため、利害関係者が増えるほどに調整コストが膨れ上がることがあります。
ここで、プロジェクトマネジメントの知見を持った担当者が重要な役割を果たします。プロジェクトマネジメント担当者は、利害関係のある当事者とは異なる視点から、全体のバランスを見ながら調整を行うことができます。これにより、プロジェクトが円滑に進行し、最適な結果を得ることが可能になります。
フュージョン株式会社でプロジェクトマネジメントを含めたCRM支援事例を公開していますので、ご興味のある方はご一読ください。
プロジェクト遅延を防ぐための方法
CRM施策設計・実行フェーズでは、多岐にわたる施策の設計を並行して進める必要があります。このため、スケジュールに遅延を発生させないためには、タスクの依存関係を把握することが重要です。
プロジェクト管理のカギとなるタスクの依存関係
タスクの依存関係にはいくつかの種類があります。
種類 | 説明 |
強制依存関係 | 作業内容的に順序が決まっている関係 |
任意依存関係 | 順序を任意で設定できる関係 |
外部依存関係 | プロジェクト外から影響を受ける関係 |
実際の施策設計フェーズでは、まず強制依存関係にあるタスクを特定することが重要です。CRM施策設計の対象領域が広がるほど、依存関係にあるタスクが増え、一つのタスクの遅延が他の多くのタスクの遅延に繋がるリスクが高まります。
施策設計におけるタスクを洗い出し、依存関係を明確にした上で、タスク管理を含むスケジュール管理やリソース管理を徹底します。なお、これらの管理には、ガントチャートを活用することが一般的です。ガントチャートを活用して、スケジュール通りに進行しているか、遅延が発生しそうなタスクがないか、遅延が発生した場合の影響を最小限に抑えるための対策を講じることはプロジェクトマネジメントの基本です。
このプロジェクトマネジメントを支援する担当者に必要なのが、CRMの専門知識です。CRMの専門知識を持つことで、専門性の高い施策設計フェーズにおいて課題が発生した際に、誰とどのような方法で対処すべきかを迅速に判断でき、専門部門と一緒に必要な対策を講じることができます。
タスクの外部依存関係とステークホルダー管理
CRM戦略の策定後、施策設計フェーズでは多くの部門が関与し、ステークホルダー(利害関係者)も増えます。そのため、タスク管理では外部依存関係のタスクを見極めることが重要です。
外部依存関係にあるタスクは、遅延が発生しやすく、場合によってはやり直しが必要になるリスクもあります。プロジェクトマネジメントには「ブロッカー」という言葉があり、これはプロジェクトの進行や完了を妨げる要因を指します。外部依存関係のタスクは、しばしばこのブロッカーになりやすいとされています。ただし、ブロッカーが存在することで、プロジェクトの外部からの監視機能として歯止めをかける役割も果たし得るため、必ずしも悪い面ばかりではありません。
そのため、ステークホルダー管理も非常に重要です。ここで、プロジェクトマネジメント担当者がCRMの専門知識を持っていることが求められます。プロジェクトの進捗をステークホルダーに説明する際、クライアント企業のCRM担当者と共に、あるいは担当者に代わって説明することがあります。プロジェクトマネジメント担当者にCRMの知識がないと、プロジェクトの進捗を正しく説明できず、ステークホルダーの疑問や質問にも適切に答えることができません。このため、プロジェクトマネジメント担当者がCRMの知識を持つことが非常に重要なのです。
CRM領域支援ならフュージョン株式会社へご相談ください
今回は、CRMのような複雑で多岐にわたる施策設計フェーズにおいて、プロジェクトマネジメントがなぜ重要なのかを解説しました。
フュージョン株式会社では、30年以上にわたりCRM領域でのマーケティング課題解決をご支援してきましたが、プロジェクトマネジメントはその中でも極めて重要な要素と考えています。
現在、CRM施策設計の見直しや新規立ち上げを検討しているが、どのように進めればよいかわからない、あるいは進めているが上手くいっていないといった課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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