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    【事例解説】BtoBマーケティングにおけるDM活用術:新規リード獲得の成功ポイントとは?

    公開日:2022-09-26
    更新日:2025-05-19

    【全日本DM大賞の事例から学ぶ】BtoBプロモーションで成果を出すためのポイントBtoBマーケティングにおける「新規顧客の開拓」は、依然として大きな課題です。業種やターゲットによって効果的な手法が異なるうえ、働き方の多様化や、購買・意思決定プロセスの変化により、従来の展示会や訪問営業だけではアプローチが届きにくくなっています。

    こうした状況の中で、確実にターゲットに届けられる物理的なアプローチとして、ダイレクトメール(DM)が再評価されています。特に紙DMは、オンライン上の広告やメールとは異なる訴求力を持ち、BtoBの新規リード獲得において実用的な手段となっています。

    本コラムでは、BtoBマーケティングにおけるプロモーション施策のひとつであるDMの活用ポイントを整理し、実際に新規リードを獲得した成功事例をご紹介します。マーケティング施策に悩むご担当者の方に、ぜひご参考いただければ幸いです。

    BtoBマーケティングの特徴

    BtoBマーケティングで成果を上げるためには、BtoBビジネスにおける購買プロセスの特徴をきちんと理解する必要があります。
    BtoBマーケティングで特に考慮すべき特徴は以下の3点です。

    1.購買の関与者が複数かつ多層であること
    2.購買決定までに時間がかかること
    3.意思決定の心理は論理的で合理的であること

    BtoCと比較すると、下記のように整理できます。

    BtoBビジネスとBtoCビジネスの違いBtoBマーケティングの場合、接点を持った顧客が決裁者とは限らず、購入までに複数の関与者が存在するのが一般的です。さらには、購入するまでの意思決定のプロセスに社内稟議が含まれるため、受注獲得までに時間がかかることはもちろん、商品の購入における「会社としてのメリット・利益」を合理的に理解してもらう必要があります。
    さらに近年では、働き方の変化や情報収集手段の多様化により、従来の展示会や訪問営業といった手法だけでは新規顧客に効果的にアプローチすることが難しくなってきています。

    これらのことを考慮したうえで、自社のBtoBマーケティング課題を整理し、適切なプロモーション施策が何かを判断することが大切でしょう。

    BtoBマーケティングでリードのアクションを促すにはDMが有効

    BtoBマーケティングには、Web広告などのデジタルマーケティングや、訪問営業などさまざまな手法があります。その中でもDM(ダイレクトメール)はBtoBでの有効なプロモーション施策のひとつです。
    詳しくみていきましょう。

    DM(ダイレクトメール)とは

    DM(ダイレクトメール)とは、商品やサービスを訴求する目的で、企業から個人宛に送付する広告です。DMは顧客の手元に直接届けられるため、閲覧性が高く複雑なサービス内容でも魅力を伝えやすいメリットがあります。さらに、デジタル施策ではリーチしにくいターゲット層へのアプローチも期待できることから、デジタル施策と組み合わせたマーケティング戦略との相性も良いでしょう。

    ご参考までに、日経クロストレンドの記事「デジマ時代に「ダイレクトメール」復権のなぜ DMに起きた2つの進化」でも、以下のような記載があります。

    顧客との関係構築に力を注ぐ企業約30社が加盟する日本リテンションマーケティング協会代表理事の奥谷孝司氏は、「顧客候補となり得る企業や生活者は今、信頼できる企業と“つながっている価値”を求めている。そのために最も有効な手段が、手触りがある形で企業の考えを伝えられ、親近感も覚えてもらいやすいDMだ」と説明する。

     低コストで簡単にアプローチできるメルマガもやりつつ、“押しの一手”として手間やコストをかけて企業の思いも盛り込んだDMで将来の顧客候補企業や生活者にアプローチする。それこそが、新規顧客を開拓するためのマーケティング手法の王道になりつつあるというわけだ。

    (出典:日経クロストレンド記事「デジマ時代に「ダイレクトメール」復権のなぜ DMに起きた2つの進化」

    つまり、企業の思いや価値観を「伝わる形」で届けることができるDMは、デジタル全盛の今だからこそ、顧客との信頼関係づくりにおいて強い力を発揮する手法として見直されているのです。

    BtoBマーケティングでDMが有効な理由

    DMは、BtoBマーケティングでも有効なプロモーション施策です。
    なぜなら、DMは閲覧性が高く、複数人が同時に内容を確認できるためです。さらに、保存性も高いことから、検討期間が長い顧客でもDMを保管することで、必要なタイミングで何度も内容を確認してもらえる可能性が高まります。

    このことからもDMは、BtoBマーケティングの特徴である「関与者の多さ」や「購買決定までの時間」にマッチした施策であることがわかります。BtoBマーケティングでDMに取り組む場合は、BtoCとは異なる設計のポイントがあります。詳しくは下記の記事をご一読ください。

    【参考コラム】
    BtoCとはどう違う?BtoBダイレクトメール(DM)で失敗しないための設計ポイント

    BtoB新規リード獲得で成果を出したDM成功事例

    ここからは、BtoBマーケティングで成果を出したDMの事例から、成功するDMのポイントについて考えていきましょう。なお今回は、過去の全日本DM大賞において、フュージョン株式会社が受賞した作品に焦点を当てて解説します。

    全日本DM大賞とは

    全日本DM大賞は、日本郵便株式会社が主催しているDM作品を対象とした年に一度のアワードです。全日本DM大賞では、「戦略に基づいて制作されたDM」を評価する場として、DMの外観だけではなく、DMを通したコミュニケーションの戦略性や実施効果、デジタルとの連携を含めて評価されています。
    フュージョン株式会社は、全日本DM大賞を連続15年以上受賞し続けています。

    全日本DM大賞公式サイトはこちら(日本郵便株式会社のページに飛びます)

    事例1.話題化しやすい箱型DMで電話営業の精度を向上(株式会社エンリージョン様)

    エンリージョン_箱型DM

    【クライアント企業概要】
    株式会社エンリージョン様
    URL: https://enregion.jp/ 

    【訴求サービスの特徴】
    株式会社エンリージョン様はUターンやIターンといった地域に根差した地域密着型の人材紹介サービスであり、各県在住コンサルタントが企業の採用パートナーとして採用課題を解決します。地方の人材市場における長年のネットワークと経験を活かし、高い書類通過率、内定承諾率、定着率を実現しています。
    また単なる人材紹介だけでなく、採用代行やRPO(採用プロセスアウトソーシング)といった、企業の人材戦略を幅広く支援するサービスもあわせて提供しています。

    【ターゲットが抱えている課題】

    地方で活動している企業において、「人が採れない」「採っても定着しない」という採用課題は年々深刻さを増しています。
    理由の一つとして、独立した人事部門がない、採用専任者がいないことが挙げられます。このことが企業としての採用ノウハウや育成スキルの不足につながり、また社内に採用専任者がいる場合でも、採用活動や採用プロセスが属人的になりやすいと言われています。そして、企業としての戦略的なブランディングや広報ができていないことも課題になっています。
    一方で、地方の若年層が都市部への流出により、そもそも地方に残る人材の数そのものが限られています。そのため、企業が求人を出しても応募があまり来ないという実態もあり、採用に関して何か改善できることはないかと考えているのが現状でした。 

    【施策の目的】

    まずは新規開拓先の担当者の認知を獲得することで、その後のコールドコールの精度と案件獲得の向上につなげ、新規コンタクトの引き上げ率や引き上げ数の改善の実現を目指しました。
    また、担当者へのコンタクトだけで会話を終わらせるのではなく、同時にその上長である決裁者へのアプローチも目指しました。

    【コミュニケーション戦略/クリエイティブのポイント】

    コミュニケーションの全体戦略を設計するうえで、認知のカギとなる起点のメディアとしてDMを採用しました。
    DMの受取時に興味を持ってもらい、開封へつなげ、まずは会社の認知獲得。その後、DMを捨てずにDMの存在そのものを記憶し続けてもらい、後日のコンサルタントによるアウトバウンドコール時に思い出して参照してもらえるように、行動と感情のフローに合わせてデザインに落とし込みました。

    そのためには、特別感ある形状とコピーが重要と考え、宝箱型のデザインを採用しました。
    宝箱には『中途採用のヒント、詰め込みました』とのコピーを記載することにより、受取人の興味を引きつつ、と同時に「手を動かす」「読む」という体験を通じて受取人の記憶に残り、コンサルタントのアウトバウンドコール時に思い出してもらいやすくしました。

    また、会社からのメッセージをしっかり伝えるため、リーフレット等内容物の仕様を上手く活用し、自社の強み・ベネフィット等のメッセージに一貫性を持たせました。クライアントのビジネスの根底にある企業姿勢やコンサルタントの人なりを理解してもらうために、「誠実さ」を伝える工夫もあわせておこないました。
    伝えたい内容のボリュームは多くなったが、受取人にとって参考になる良い情報をたくさん届けたいという思いから、受取人にポジティブな印象が残るような見せ方に心がけました。

    【効果】

    アウトバウンド時にDMが会話のきっかけとなり、従来の施策より接続率が高く、商談率が3.8%と向上しました。
    また、送付先企業からの問い合わせは0.8%で、問い合わせの内訳比率は、
    サービス資料要望8.3
    書籍プレゼント申し込み20.8
    オンラインセミナー申し込み16.7
    サービスの説明を聞きたい41.7
    サービス利用を検討している12.5
    となりました。

    加えて、定性的ではありますが、新人コンサルタントの新規アウトバウンドコール時のフォローアップの精度の向上も確認でき、同時に商談率の向上、問い合わせのフォローアップによるベテランコンサルタントの新規アプローチの拡大にも貢献できました。
    受賞実績は以下のページでもご紹介しています。

    【受賞実績ページ】
    話題化しやすい箱型DMで電話営業の精度を向上 企業様と求職者のご縁を赤い糸でつなぐDM(株式会社エンリージョン様) 

    事例2.「自社の社長から手紙が届いた」と思わせるクリエイティブで資料請求を獲得(株式会社リクルート様)

    リクルート_社長のお気持ち

    【クライアント企業概要】
    株式会社リクルート様
    (スタディサプリENGLISH法人サービス公式サイト)

    https://eigosapuri.jp/biz/

    【訴求サービスの特徴】
    スタディサプリENGLISHはTOEIC®対策に必要なすべての内容を、スマホアプリやパソコンを使用し、いつでもどこでも、驚くほどわかりやすく、最短3分の隙間時間から続けられる教育サービスです。
    従来のオフライン型研修に比べ、受講者あたりのコストを大幅に削減でき、また研修日程や場所の調整が不要で、受講者のペースで受講することを可能にしました。その上受講者の受講状況や進捗状況もオンライン上で確認できるため、管理が容易で担当者の労力の削減にもつながります。

    【ターゲットが抱えている課題】

    大企業では事業の海外進出の拡大や、従業員の多様性もあり、従業員の英語力の水準の引き上げが引き続きの課題となっています。また、中規模企業においても従業員のスキル強化の一環として英語力の向上が同様に課題となっています。
    一方で、特に中規模企業では、社員あたりの教育コストを大企業ほどかけることができないので、安価で成果の出る教育サービスを必要としています。

    【施策の目的】

    大企業向けとして過去複数回DMでアプローチを行っていたが、成約につながっていない企業も存在していました。
    売上拡大のため、今回は成約につながらなかった大企業に加え、中規模企業までターゲットを広げ、スタディサプリが社員向けに英語教育の機会を提供できることを伝え、その上で人事部長からの資料請求の獲得を目的としました。

    【コミュニケーション戦略/クリエイティブのポイント】

    大企業に加え、初めての試みである中規模企業へのアプローチのため送付数が増えるため、過去のDMに比べコストを抑える必要がありました。そのため形状を再検討した上で、さらにメッセージにインパクト持たせ担当者の興味を引き、認知・理解を促進する必要がありました。

    そこで、普段は語られない社長の本当の考えや意図を人事担当者にスタディサプリが代弁して伝えるというアイディアをベースに、意図を伝えるためのキーメッセージとして「社長のお気持ち」というコピーを開発、気持ちを伝えるために同封した「社長から人事部長へ社員の英語力アップを要望する手紙」「人事部長から担当者へスタディサプリ導入の検討を促す手紙」「スタディサプリサービス冊子・特典チケット入りケース」によってストーリーを展開しました。社長から、「グローバル競争力向上のために全社員規模で英語力を高めてほしい」「スタディサプリを検討してほしい」との指示が出されたと思わせる内容で、中身の閲覧や資料請求へと促しました。

    【効果】

    4,000社にアプローチし、合計61社の資料請求(資料請求率は約1.5%)がありました。資料請求を行った61社のうち、32社から実際にサービス申込がありました。

    中には、DMの意図を理解したうえで、「社長からの指示と書いてあったので問合せをしました。」との反応もありました。
    今回のDMでは過去のDMで反応がなかった大企業からの商談の獲得や、中規模企業からの新規の申込獲得があり、売上に大きく貢献することができました。
    受賞実績は以下のページでもご紹介しています。

    【受賞実績ページ】
    「自社の社長から手紙が届いた」と思わせるクリエイティブで資料請求を獲得 社長からの手紙を模したスタディサプリENGLISH DM(株式会社リクルート様)

    事例3.「ふるさと納税返礼品風DM」で自治体新規リードへの認知・拡販を実現(株式会社ネクスウェイ様/株式会社エッグ様)

    ふるさと納税DM_20220318

    【クライアント企業概要】
    株式会社ネクスウェイ様(システム開発)/ 株式会社エッグ様(販売元)

    【訴求サービスの特徴】
    「ふるさと納税寄付金受領証明書 発送サービス」は、ふるさと納税を受けた自治体が受領証明書送付に関する情報を一元管理することによって、受領証明書の翌日発送や毎日発送が可能になり、自治体担当者の負荷を減らすことができるサービスです。

    【ターゲットが抱えている課題】

    各自治体ではふるさと納税に際し、寄附者が確定申告に使う寄附受領証明書を発送する必要があります。各自治体における寄附受領証明書発送業務は、寄附が集中する年末が特に多忙となりますが、それ以外の月は閑散期となり発送の業務量の差が大きいため、特に小規模自治体は固定費のかかる外部サービスの利用が難しく、担当者が11月~年末にかけて大変多忙となっているが解決策がない状態になっていました。 

    【施策の目的】

    「ふるさと納税寄附金受領証明書 発送代行サービス」のサービス内容と導入メリットを直接担当者に訴求することで商談アポイントメントを獲得、さらに導入検討のための見積り請求の獲得を目的としました。 

    【コミュニケーション戦略/クリエイティブのポイント】

    自治体担当者には毎日たくさんの郵送物が届くため、企業向けや自治体向けDMとしてよく使用される単なる大判サイズでは、他の情報との差別化が図れず高確率で埋もれてしまう可能性がありました。そのため、まずはDMの存在に気付いてもらうことを最重要と考え、クリエイティブを検討した上で最終的にはふるさと納税担当者の目に留まるように返礼品風のダンボールを外封筒として送付し目立たせることによって、最初のステップである開封率のアップへつなげました。

    また、「新聞」「スケジュール帳」をデザインした封入物を送付しました。「新聞」では、提案するサービスの内容や利用する自治体のメリットが分かりやすく伝わるよう、記事形式で訴求し読み進めやすく直感的で理解しやすいデザインで説得力を高めました。
    「スケジュール帳」はサービス導入時の担当者が疑問を持ちやすい導入負荷を払拭するために、サービス導入までのスケジュールを仮で記載し、導入までのイメージを掴んでもらい担当者の持つ疑問の払拭を行いました。 

    【効果】

    DM送付1,143自治体のうち、122自治体から商談のアポイントメントが取れ、レスポンス率は10.6%と事前の想定を遥かに超える反応となりました。また商談中の売上見込みは6,000万円となり、ROAS2,000%以上の効果になりました。 

    併せてメインのターゲットと設定していた911自治体にフォローアップを実施したところ、全ての自治体担当者がDM到着を認知、その結果自治体担当者の94%のフルネームを、86%のメールアドレスを取得することができました。 

    DMを受け取った自治体の方からは、
    「ダンボールのインパクトがあった」「丁寧な説明でわかりやすかった」などの声を頂きました。
    受賞作品は以下のページでご紹介しています。

    【受賞実績】
    普段送っている返礼品が逆に届いた!?インパクト創出で想定をはるかに超える効果 ふるさと納税返礼品風DMで認知・拡販に大成功!(システム開発:株式会社ネクスウェイ様/販売元:株式会社エッグ様)

    フュージョン株式会社では、BtoBBtoC問わず、さまざまな企業のDM施策をご支援しています。
    過去の支援事例をまとめた資料は、下記のページからダウンロードできます。ぜひご活用ください。


    BtoBビジネスの特性を理解したうえでDMを最大限活用しよう

    初めてBtoB向けのDMに取り組む担当者様であれば、DM制作に関して何から始めるべきか、いつ発送できるの、費用はどれくらいかかるのなどお悩みもさまざまだと思います。
    また、そもそものDMの企画設計がうまくまとまらないと、入り口で躓くケースも多く見られます。
    フュージョン株式会社ではBtoB DMに関するお悩みや課題解決を支援するため、BtoB企業向けのダイレクトメールサービスを提供しています。
    本サービスでは貴社が持つ課題感をはじめ、顧客の情報や伝えたいメッセージを丁寧にヒアリングし、企画設計からDM制作、実施後の効果検証までワンストップでご支援いたします。

    ご興味のある方は、サービスページをご覧ください。

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