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    ロイヤルティプログラムを成功に導くための検討・見直しガイド

    2024-08-05

    ロイヤルティプログラムを成功に導くための検討・見直しガイドリテンションサイドで既存顧客に提供する施策を検討する際、多くの企業が最初にロイヤルティプログラムを考えます。効果を上げている企業は、戦略を策定した上でロイヤルティプログラムを導入・運用しています。しかし、一部の企業では、ロイヤルティプログラムを導入したものの、見直すことなく時間が経過し、戦略やプログラムが陳腐化してしまうケースもあります。
    また、施策がその時の課題解決のために設計されることが多く、全体を俯瞰すると施策の統一感がなくなり、戦略から見直したいという担当者の声もよく聞かれます。

    フュージョンでは、クライアントの顧客戦略に基づいた戦略があり、それに基づいて施策が設計されているかを検証しながら、最終的にロイヤルティプログラムがどうあるべきかを提示するという手順で進めています。
    今回のコラムでは、ロイヤルティプログラムを検討・見直す際に必ず確認する事項について解説します。ロイヤルティプログラムの概要については、別記事「ロイヤルティプログラムとは?他社事例から学ぶ3つの指標と実践方法」で解説しているので、あわせてご一読ください。

     

    検討・見直し時に押さえておきたい12の確認事項

    ロイヤルティプログラムは企業の顧客戦略の一部であり、その戦略に基づいて施策を設計し、実行することが重要です。そのため、戦略から検討・見直しを行う際に押さえておくべき重要な事項が12あります。これらについて順に解説します。

    ロイヤルティプログラム導入時の検討・見直し事項

    1.ロイヤルティプログラム導入の目的

    まず、企業や部門がロイヤルティプログラムを導入することによって、最終的に目指すべき目的(ゴール)を整理し定義することが重要です。一般的にロイヤルティプログラムでは一般顧客から優良顧客へ育成することを導入目的として挙げている企業が多いですが、育成後に達成すべきビジネスの目標も考慮すると良いでしょう。また、目的は必ずしも1つとは限らないため、優先順位を付けておくと次以降の見直し事項も検討しやすくなります。

    2.ロイヤルティプログラム導入時の目標

    ロイヤルティプログラムに導入によって達成すべき具体的なマーケティングの目標、いわゆるKGIを整理します。KGIは最終的に数字で評価すべきなのでより具体的な目標を検討することが大事です。たとえば優良顧客数なのか、顧客のアクティブ率なのか、顧客のライフタイムバリューなのか、また顧客満足度のようなロイヤルティを可視化したものがKGIとして考えられます。これらの目標が実際の施策を設計する際の軸となります。

    3.ロイヤルティプログラムのコンセプト開発

    目的と目標から、企業視点と顧客視点の両面でロイヤルティプログラムのコンセプトを整理します。
    企業視点では「一般顧客の再来店を促進する」「顧客全体の再購入を推進する」「ライフタイムバリューを最大化する」など、具体的な目標に基づいたコンセプトを開発します。
    一方で顧客視点では、「参加するメリット」を明確にし、端的に表現するキーワードやワンセンテンスを作成します。
    複数のコンセプトが存在する場合、一貫性を持たせることが重要です。新規顧客にロイヤルティプログラム参加を促す時「参加することのメリット」を端的に表すキーワードや一文が示せると良いでしょう。
    コンセプトもひとつだけとは限りません。一般的には複数のコンセプトが存在するケースのほうが多いです。この場合、全てのコンセプトをつなげたときに一貫性があり、一つのストーリーとして成立するかという点が重要です。

    4.ロイヤルティプログラムのターゲットの特定

    ロイヤルティプログラムのターゲットを明確化します。一般顧客や優良顧客などのデモグラフィックやサイコグラフィック情報、購買行動を分析し、理想のペルソナを策定します。

    5.ロイヤルティプログラムの概要の説明

    目的やコンセプトからロイヤルティプログラムで顧客にどのような体験を提供すべきなのかを整理して、ロイヤルティプログラムの全体像を明確化します。顧客ランク制を導入する場合、全体と特定グループへの体験を区別し、インセンティブ設計を行います。また、関連するプログラムや体験も整理し、全体像を理解しやすくします。
    この際、ロイヤルティプログラムと関連性の高い別プログラム、例えばポイントプログラムでの体験やECでの体験もあれば、相互間の関連性も同時に整理しておくと全体像が理解しやすくなります。

    ランク制度とCRM施策の組み合わせで効果を期待する​

    6.全体費用のシミュレーション

    ロイヤルティプログラムの導入、運用にどの程度の費用がかかるのかを把握しておく必要があります。ただしこの項目はKGIによって重要度合が変わります。もしKGIに「営業利益」を上げている場合は導入・運用費用の精緻なシミュレーションが必要になります。そうでない場合は、予算内で導入・運用できるのかどうかを判断するために必要です。
    ロイヤルティプログラムは、顧客との継続的なコミュニケーションが求められます。顧客とコミュニケーションする上では、マーケティング・テクノロジーが必要で、そのためのプラットフォームが必須です。マーケティング部門でプラットフォームの費用の一部、もしくはすべてを負担するのであれば、プラットフォームの費用もシミュレーションしておかないと、どの程度コストがかかるのかが予測できませんし、継続的なプラットフォームの拡張・メンテナンスができなくなります。プラットフォームのシミュレーションがマーケティング部門だけで難しい場合は、必要に応じてIT部門への支援を求めましょう。

    7.ロイヤルティプログラムによって期待される顧客の態度変容

    この事項も企業視点と顧客視点での両面から整理します。
    企業視点では企業が把握している顧客の現状の行動と態度をAs-Isとして、そして顧客がロイヤルティプログラム参加後に期待する態度をいわゆるTo-Beとして整理します。
    顧客視点では、一般顧客や優良顧客に対しての定量・定性調査を行い、それにより導き出されたペルソナや顧客インサイトから顧客の心理的・行動的態度変容の仮説を立てましょう。顧客の態度変容の仮説は、カスタマージャーニーマップを使用して態度変容を可視化することが一般的です。フュージョンではカスタマージャーニーマップテンプレートを公開しているので、ぜひご活用ください。

    8.ロイヤルティプログラムで提供するインセンティブ

    一般顧客や優良顧客に提供するインセンティブの基本方針や「金銭的」「利便的」「心理的」インセンティブの設計と配分を検討します。そして、導入時に考えられる「金銭的」「利便的」「心理的」のインセンティブのアイデアや各インセンティブの付与方法/付与タイミングを検討(購入時/後付け/後送等)します。

    提供するインセンティブの種類

    この段階で、競合や同業他社、またはベンチマークしているロイヤルティプログラムのインセンティブにどのようなものがあるかを調査しておけば差別化を図ることができます。この段階においては、具体的なオファーまでは検討しません。あくまでもどのようなタイプのインセンティブをどのような方法で提供するかを整理するのが目的です。

    9.ロイヤルティプログラムで使用するプラットフォーム

    ロイヤルティプログラムで使用するフロントエンド、バックエンドのプラットフォームと実際の運用ではどのような機能がプラットフォーム上で必要かを整理します。必要な機能の洗い出しと、その機能を使用して何を実現したいかを検討し、最終的にはシステム構成図や機能関連図として図示することが重要です。
    またロイヤルティプログラムを運用するために関連する他プラットフォームの機能連携やデータ連携があれば、どのようなデータを連携するのかを可視化したシステム連携図も用意します。
    この項目も費用のシミュレーションと同様にITの知見が必要です。マーケティング部門だけで整理が難しければ、IT部門の支援を受け、ロイヤルティプログラムで実現したいマーケティング部門からの要望をIT部門に渡し、IT部門にシステムの要求仕様を作成してもらうことも必要です。

    10.ロイヤルティプログラムで達成するKPI

    目標と費用のシミュレーション等の数字を使ってKGIを実現するためのKPIを検討します。KGIを複数のKPIに分解し優先順位をつけます。
    KGIが複数ある場合は、プライマリーKPI群とセカンダリーKPI群のように複数のKPIでグループ化して管理するのが一般的ですので、この項目でも把握しやすいように分類しておくことが重要です。

    11.ロイヤルティプログラムを導入・運用するためのロードマップ

    導入決定から導入・準備期間中、また導入後の運用スタートから運用後1-3年程度にどのタイミングで、どのようなことを行う予定なのか、ロードマップとして整理します。
    ロイヤルティプログラムは顧客の拡大・深化とともに成長しますので、必要とするすべての機能を運用開始時にそろえる必要はありません。拡大・深化に合わせて段階的に施策の追加や機能の追加を行いますので、どの時期にどのような施策や機能を準備しておく必要があるのかをある程度検討しておく必要があります。そういう意味で、最低でも運用数年先までのロードマップを用意したほうが良いでしょう。

    12.課題の抽出と確認

    ここまでの項目を整理する中で見つかった課題を抽出し、優先順位をつけて解決にあたります。
    新規でロイヤルティプログラムを検討する場合であれば、ここまでの事項の整理をする中で、導入までに考えられる部内外の課題がすでに複数見つかっているはずです。また、既存のロイヤルティプログラムを見直す場合は、見直し後も引き続き残る課題、見直すことで解決できる課題、見直しているタイミングで新たに見つかった課題があるはずです。その上で解決すべき課題の優先順位を設定し課題解決にあたる必要があります。
    このとき、課題を解決することで新しく顕在化する問題も出ることがありますが、今時点で顕在化していないもの、言い換えれば発生するかどうか今時点でわからないものはこの時点では無視しても良いでしょう。

     

    ロイヤルティプログラムには戦略が必須

    今回のコラムでは、ロイヤルティプログラムを検討・見直し時に押さえておきたい12の重要事項について詳細に解説しました。
    注意点として、これら全ての事項をマーケティング部門だけで整理する必要はありません。解説でも述べたように、IT部門や経理部門、企業によってはマーケティング・オペレーション部門が対応する場合もあります。その場合、担当部門の支援を仰ぐか、事項の作成そのものを担当部門に依頼することが可能です。
    多くの見直し事項は企業視点で解決できますが、いくつかの事項は企業視点と顧客視点の両面からの検討が必要です。そのため、自部門内だけでは解決できない場合もあります。課題を解決するために、第三者の視点からまとめることができるコンサルティングサービスの活用を検討することをお勧めします。
    弊社では、CRMコンサルティングサービスの一環として、ロイヤルティプログラムの導入や見直しを支援しています。戦略設計からコミュニケーション設計はもちろん、個別施策やクリエイティブ企画・制作、さらにはプラットフォーム導入設計、運用支援まで、クライアント企業が必要とするロイヤルティプログラム全般をサポートしています。
    ロイヤルティプログラムの新規導入を検討している方や、既存プログラムの見直しを考えている方、または現在のプログラムがうまく機能していない原因を特定したい方など、どのようなご相談でもお気軽にお問い合わせください。

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