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    インサイトとは?意味とマーケティング活用事例・調査手法|実務にすぐ使える知識

    公開日:2024-10-15
    更新日:2025-09-08

    インサイト3

    「インサイト(Insight)」とは、消費者が自覚していないものの、無意識のうちに商品やブランドを選ぶときの決め手となる要素を指します。マーケティングにおいてインサイトを把握・活用することで、商品開発や販売促進、顧客ロイヤルティ向上に大きく役立ちます。

    本コラムでは、インサイトの意味やニーズとの違い、マーケティング活用事例、定量・定性調査を通じた導き方について解説します。実務にすぐ活かせる知識を整理しているため、マーケティング担当者や中間管理職の方にとって、戦略立案のヒントになれば幸いです。

    なお、本記事では「マーケティング・コミュニケーション領域」で用いられるインサイトを中心に扱います(リサーチ領域でのインサイトとは若干意味が異なります)。

    インサイトとは?意味とマーケティングにおける位置づけ

    「インサイト(Insight)」とは、英語で「洞察」「本質を見抜く力」を意味します。
    マーケティングにおいては、消費者が自覚していないものの、無意識に商品やブランドを選ぶときの決め手となる要素を指します。

    インサイトは単なる「ニーズ」とは異なり、消費者自身も言語化できない心理や行動の背景に潜んでいます。そのため、インサイトを明らかにすることは、商品開発やコミュニケーション設計において、顧客を動かす本当の理由を理解することにつながります。
    つまり、インサイトとはブランドや商品と消費者を結びつける「無意識下の絆」であり、マーケティング戦略を考えるうえで欠かせない視点です。 

    インサイトと潜在・顕在ニーズの違い

    (ニーズとインサイトの違い)

    • ニーズ:消費者が持つ「需要」や「欲求」。顕在化している場合もあれば、まだ表面化していない潜在ニーズとして存在する場合もある。
    • インサイト:ニーズにすらなっていない段階の「無意識のきっかけ」。言語化されていないが、商品やブランドを選ぶ理由となるもの。

    潜在・顕在を問わずニーズが存在しても、消費者が必ずしも自社商品を選んでくれるわけではないのです。そこで重要になるのが、「なぜこの商品を選ぶのか」という無意識の理由=インサイトです。
    この「インサイト」を見つけ、理解し、可視化するプロセスをインサイト開発と呼びます。商品開発やマーケティング施策を成功させるための出発点となります。

    マーケティングにおけるインサイト活用事例

    インサイトを明らかにし、それを施策に活用することでマーケティングは大きく変わります。
    例として、ある定食チェーンの事例を紹介します。

    同社では、女性客の来店を増やすため、野菜を多く取り入れた女性向けメニューの開発や、女性を意識したTVCM・販促を行いました。しかし、期待した成果は得られませんでした。
    そこで、ターゲットである女性のインサイトを調査したところ、「一人で来店するのは恥ずかしい」という心理的ハードルが明らかになりました。
    この気づきをもとに、あえて地下や2階など外から視線を感じにくい立地に店舗を展開した結果、女性の一人客が増加し、新規顧客の獲得に成功しました。
    このように、インサイトを捉えることで、従来の属性分析やメニュー改良だけでは見えなかった顧客の本当の行動理由にアプローチできるのです。

    出典:マネーポストWEB「大戸屋が愛される理由 野菜メニュー豊富で女性客を意識

    CRM戦略設計におけるインサイトの重要性

    インサイトを得ることは、CRM戦略設計を行ううえで欠かせない要素です。
    CRM戦略設計とは、自社と顧客のコミュニケーションやプロセス全体を整理することを指します。
    その出発点となるのが、顧客を深く理解すること=インサイトの発見です。
    機能的価値や経済的価値だけでは、顧客が長期的にブランドに関わり続ける理由にはなりません。
    顧客が「このブランドが好きだ」と無意識に感じる背景には、心理的価値が存在します。
    そして、その心理的価値を形づくるのがインサイトです。

    つまり、インサイトを把握して施策に活用することは、CRM戦略設計の精度を高め、顧客との関係を長期的に維持・強化するために不可欠なのです。
    CRM戦略設計について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

    【参考コラム】
    CRM戦略とは?重要性・メリットとCRM戦略設計の4ステップを解説

    インサイトを得るための代表的な調査手法

    無意識の中にある消費者のインサイトを把握するためには、定量調査と定性調査の両面からのアプローチが有効です。
    ここでは仮説検証のための定量調査と定性調査について紹介します。

    仮説検証のための定量調査

    定量調査は、仮説を数値で検証したいときに有効な調査手法です。
    統計的に意味のあるデータを得るためには、調査設計を事前に適切に行う必要があります。

    主な定量調査の方法:

    • アンケート調査(現在はWeb調査が主流)
    • Webサイトのアクセスログ分析
    • かつて主流だった街頭調査やCLT(Central Location Test)、郵送調査など

    定量調査の強みは「客観的な数値」をもとに仮説を検証できる点です。

    仮説構築のための定性調査

    定性調査は数値化できない情報から仮説を構築するときに有効な調査手法です。
    たとえば消費者の発言や日常行動、態度のような数値化できないものの調査が該当します。
    特に、インサイトを導くうえで定性調査は欠かせません

    代表的な定性調査手法:

    • フォーカスグループインタビュー(FGI):複数人でのディスカッション形式
    • デプスインタビュー(DI):1対1で深掘りする形式
    • エスノグラフィック調査:日常行動を観察し、文脈を含めて理解する方法

    定性調査の強みは、数値に表れない「本音」や「無意識の動機」に迫れる点です。

    定量・定性調査の使い分け方

    インサイトを正しく発見するには、定性調査と定量調査を組み合わせることが重要です。

    • 定性調査で仮説を構築 → 消費者の「本音」と「建前」を見極める
    • 定量調査で仮説を検証 → 数値によって仮説を裏付け、精度を高める

    注意点として、以下が挙げられます。

    • 定性調査では、回答者が本音を語らないリスクがある → ファシリテーターのスキルが鍵
    • 定量調査は「事実」を示すが「真実」とは限らない → 複数の解釈があり得る

    だからこそ両者を適切に使い分け、数値と仮説を往復しながらインサイトを発見していくことが大切です。

    インサイトを理解して、マーケティングに活用しよう

    インサイトとは、消費者が無意識に商品やブランドを選ぶときの「理由」です。
    マーケティングにおいてインサイトを正しく理解し活用することで、商品開発やコミュニケーション設計、さらにはCRM戦略全体の精度を高めることができます。

    【本記事のポイントまとめ】

    • インサイトとは:消費者が自覚していない購買の決め手
    • ニーズとの違い:潜在ニーズよりさらに奥にある「きっかけ」
    • CRM戦略設計との関係:インサイトは顧客理解の出発点
    • 調査手法:定性調査で仮説を構築し、定量調査で裏付ける

    インサイトを発見し施策に組み込むことは、LTV(顧客生涯価値)の最大化につながります。
    まずは自社のCRM戦略設計をどのように進めるかを整理してみませんか?
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    ぜひご活用ください。

    さらに、具体的にインサイト調査やCRM支援をご検討の方は、以下からお気軽にご相談ください。

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