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「自走する」小売業 その2

佐々木 卓也
2021-01-19

昨年11月に自走する小売業と題してブログを書いたのですが
 一つ目「事業承継が進み、次世代の経営者が次々と生まれている」
 二つ目「デジタル施策運用、テクノロジ導入を内製化し始めている」
 三つ目「情報収集の為に自ら動いている」
 四つ目「共創・協働という考え方が浸透し始めている」
といった自走する理由を4つほど記してみました。

大変嬉しい事に沢山の関係者の方から好評の声を頂きましたので
上記前回の4つの理由に引き続き、
小売業が「自走」している理由を更に考えてみたいと思います。

  • 五つ目「全体売上に対するEC比率がアップし、オムニチャネル化が進む」

この10年で、新しい販売チャネルとしてECはいくつかの業界を除き確立し始めています。

全体売上に対してのEC売上比率が年々高まるにつれ、
WEBキャンペーンやWEB広告の投資対効果の感覚知や
全ての購買データがある状態だが見えない顧客とのコミュニケーション経験等が蓄積され、
自社ECとリアル店舗両方利用する顧客が上顧客になる
というオムニチャネル戦略の考えが経営陣に浸透し始めています。

顧客との接点をオフライン・オンライン両方持つ強み
改めて意識し感じ始めているのではないでしょうか。

  • 六つ目「ミドルマネジメント層の若返りや女性活躍が進んでいる」

その1で記した「事業承継が進み、次世代の経営者が次々と生まれている」と同時に、
ミドルマネジメント層の若返りも急速に進んでいる様に感じています。
大手流通でも役員クラスで40代も多いですし、30代で部長クラスの方にもよくお会いします。

また、昔は少数だった女性の部長や役員が増えているように感じています。
特に食品流通業だと正直なところ男社会の歴史もありましたが、
人材採用が困難な時代を乗り越え、活躍の場づくりが出来ている企業は
組織の若返りにも成功しているのではないかと考えています。

  • 七つ目「出島・特区を創り、自由な取り組みを出来る場所を創っている」

長らく続いた、いわゆるチェーンストア理論の考えの中では
いかに坪売りや人時生産性を上げる様な効率を求める考え方が主流です。

一方で、ECも規模が大きくなると効率が上がる(物流は別ですが)ので、
リアル店舗だから出来ること、もしくはリアル店舗しか出来ないこと
知恵を絞り、集中する企業が増えていると感じています。

全ての店舗ではなく「出島・特区」といった特別な実験店舗を自ら創り、
先進的な取り組みや水平展開する前に判断をするための実験場所として
機能させる投資をしています。

社員や現場から出たアイディアを効率や生産性だけで語らずに、
自由にチャレンジできる場所を創る事で、
自社の中に成功体験、失敗体験を蓄積する効果も生まれていると思っています。

  • 八つ目「「お得・安い・便利」の他に「良い経験=good experience」を
    どう顧客に提供するか模索している」

顧客に伝えるメッセージが「お得・安い・便利」といったメッセージが大半だったリアル店舗が、
いくつかのカテゴリで「お得・安い・便利」を訴求するEC専業者にそのシェアを奪われています。

店舗に来る意味や意義、そして来店した際に感じてもらう「良い経験」とは何なのか。
わざわざ外出して店舗に訪れる顧客に対して経験させたい事を真剣に考える様になったと思います。

昔は、「何もしなくたって来るお客がいるんだ」と息巻いている方もいましたが、
今は誰も言わなくなりました。

リアル店舗の価値を自ら見出し、再定義出来る企業が生き残るのではないかと感じています。
昨年からのコロナ禍でその流れがさらに加速していると思います。

IMG_0188.jpg
ニューヨークにある、世界で1店舗しかない
Amazon内でのレビュー4つ星以上の商品を展示するリアル店舗「Amazon 4-star」
出口に置いてある「良い経験=good experience」を計測するカウンターです。
皆、押してから外に出ていました。

過渡期の時代は終わり、代理店やコンサル任せではなく、
自分たちの考えで自走し始めた小売業と一緒に仕事出来る事を
私たちも刺激的で楽しく思っています。

Think out!
最後まで読んで頂いてありがとうございます。

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